2026年7月より、秋田書店「Souffle(スーフル)」にて連載中の漫画『天幕のジャードゥーガル』(著・トマトスープ)のTVアニメが放送中だ。学者一家に引き取られた少女・シタラは、モンゴル帝国の侵攻によって家族を失い、捕虜として帝国へ仕える事に。第三皇子オゴタイの第六妃ドレゲネと出会ったシタラは、培った知恵を武器に、帝国を内側から崩壊させるべく暗躍していく——。
重厚なストーリーがユーモアも交えながら描かれる本作は、中世のモンゴル文化をはじめイスラム文化など、現代日本に生きる我々から見て馴染みが薄い時代背景が題材として扱われている。様々な異文化や登場人物たちの思惑が交錯する複雑な要素を持っているからこそ、作中で描かれる一つ一つの事が印象に残り、今を生きる自身と比べる見方も面白いはずだ。
本記事では、TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』の主要キャストである、シタラ役の関根明良、ドレゲネ役の小清水亜美、ムハンマド役の齋藤潤、オゴタイ役の下野紘、トルイ役の鈴木崚汰による座談会より、本作に参加するにあたりモンゴル文化をはじめとした要素をどのように受け止めていったのか、作品の魅力とあわせて語られた内容をお届けする。
——TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』は、モンゴル文化やイスラム文化を土台にした、登場人物たちの多様な価値観が印象的です。なかなか馴染みがない要素も多いですが、収録にあたってどのように受け入れていったのでしょうか。
関根:収録の前に音響監督の小沼(則義)さんが時代背景や文化について一つ一つ説明をしてくださっていました。たとえば奴隷という言葉も、怖く響く言葉だけれど当時は「お金で雇う人」という部分があるので、怖く考えすぎないでくださいという説明があって。
——たしかに第1話ではシタラが奴隷としてファーティマに買われていくシーンが、家具を買うかのようにすごくナチュラルに描かれていてカルチャーショックでした。
下野:日本で言うところの奉公人みたいなものですよね。
小清水:実際には環境次第で様々ではあっただろうけれど、一例としてのこのシーンでは家政婦さんとか、じいや・ばあやみたいな。
関根:本作での扱いとしては、ひどいものではなくて。
小清水:奴隷は責任を負わなくていいというのも印象的で、そこはちょっと日本の感覚の奉公人とも違うかもしれないですよね。
下野:そこも良し悪しだよね。実は『天幕のジャードゥーガル』をやる前に、世界史を学ぶ番組のナレーションをした事があって。そのなかでモンゴルも扱っていたんですけど、ヨーロッパのあたりから始まった文化が少しずつ流れていって大成して衰退していくというなかで、モンゴル帝国って本当にいろいろな国を取り込んで大きな国になっていった。
それまでは支配された側が統治した側の宗教や文化を学んでいかなければいけないという事だったのだけれども、逆に(統治側が)取り入れる事で当時どこの国も太刀打ち出来ない強大な帝国になっていったというのが、どうやらモンゴル帝国だったらしい。
第1話でも書物を取っていったけれど、なくしてしまえという考え方ではなくて、何か得られるものを繁栄のために取り入れていったという。
小清水:いいところを残しながらっていうのは、一見理想的に見えるよね。
下野:そうそう。だけど、史実としてそんなモンゴル帝国が小さくなっていったのは何故なのか。世界史を見ていくと世代が変わる事によって考え方も変わっていく事があって。
『天幕のジャードゥーガル』という作品は、イスラム文化やモンゴル文化に触れている事もあって、いろいろな人たちの考え方や生き方が、共存の仕方や敵対の仕方も含めてすごく入り混じったものすごく複雑な作品なのだと改めて思いましたね。
「この作品に触れたことによる学びが多い」


