■企業は利益増も「景気回復の実感なし」が約8割
食料品の消費税1%への引き下げについて、国際基督教大学教授のモンゴメリ・ヘザー氏は懸念を示す。「物価が高くて、スーパーのレジでドキドキする気持ちは分かるし、減税は政治的には人気が出る。しかし、財源がどこから来るのかという話がされていない。それはただの財政拡大の別の言い方になる。長期的には日本の経済には適切ではない」と述べる。さらに「日本は20年以上長期的なデフレが続き、やっとインフレ率が日銀目標の2%に近づいてきた。実質賃金は今上がっているが、まだ物価上昇を追いかけている段階で、これからが転換点になるかもしれない」と、現状を楽観的に見ながらも減税の効果には懐疑的な立場を示した。
東京財団首席研究員の柯隆氏も財源問題に加え、実務的なコストを指摘する。「2年しか下げないなら、流通各社がレジを更新したりシステムを変えたりするコストが莫大にかかる。それならむしろ0%にして恒久化すべきで、なぜ1%だけ残すのか」と疑問を呈した。
小西美術工藝社社長のデービット・アトキンソン氏は、景気の実感と現実のギャップを数字で示す。「74カ月連続で景気は拡大しているが、世論調査では78%が景気がよくなっている実感がないと答えている。個人に聞けば良くなっているはずがない。この30年間で個人の平均給与はほとんど上がっていないのに税金は増えているからだ。一方で企業の利益は5倍に増え、内部留保は614兆円に膨らんでいる。2025年度でも企業の経常利益は8.8%増えているのに、給与の伸びは2.4%にとどまっている。労働分配率は極めて低い」と語る。経済成長の恩恵が個人に届いていない構造を示した上で、「持続的な経済成長には個人部門が良くならなければならない。それを担うのは政府ではなく、利益を上げている企業からの分配だ」と強調した。
■働き手の立場が弱すぎる?
