■「国内対策が先。足りないなら輸入ではなく振興策を」
石川氏は、そもそもこの議論の前提として「メーカーも生産者も消費者も誰も要望していない話なのに、なぜここまで進めるのか。ジャガイモが足りないというなら、輸入ではなく国内の振興策に力を入れるべきで、順番が違う」と主張。「流通している7割は国産で賄えており、食料自給率を上げていきたいのであれば、全国の北から南まで作れる作物をもっと増やしていくことが先決だ。輸入の話が先行して見えること自体が、農家のやる気を失わせてしまう」とも語る。
有塚氏はさらに、輸入の影響はジャガイモ1品目の問題にとどまらないと強調する。「十勝では小麦、てんさい、豆類、ジャガイモの4品で輪作をしている。その一つが欠けたら他の作物全体のバランスが崩れて、全ての作物が栽培できなくなるくらい死活問題だ。6代続けてきた農業が根底から揺らぎかねない」と語った。
こうした声に対し、経済学者の柿埜真吾氏は異なる角度から問題を整理する。「病害虫対策をきちんとしなければならないのは当然の前提。WTO(世界貿易機関)のSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)に基づき、科学的な根拠をもって検疫体制を整えた上で輸入に応じるのが国際ルールであり、何でもいいとは誰も言っていない」と述べる。その上で「2016年の台風被害によるジャガイモ不足を受け、翌2017年にはカルビーなどがポテトチップスの一部商品の販売を休止した。2025年も価格が高騰している。国内で自給できているから安心だという話は、実は近年の気候変動のもとでは揺らいでいる。米でも同様だが、不作のショックが起こったときに輸入先がちゃんとある状態は、むしろ食料安全保障上プラスに働く」と指摘する。
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