■「分析対象にされた」——白坂氏が語る批判への違和感
白坂氏は『WiLL』購入の経緯について、早稲田大学の保守系サークルの前代表・藤井雄太がXに投稿していた文章を読み、共同体の希薄化や現代人の孤独といった問題を保守的な立場から論じていた点に興味を持ったためだと説明する。その藤井氏の原稿が同誌7月号に掲載されていたことを知り、初めて購入したという。
するとリベラル系論客から「右傾化するリベラル学生」の例として取り上げられ、「思想的変遷を博士論文で分析したら面白いのでは」とコメントされたほか、「差別煽動を行ってきた右翼雑誌を肯定的に持ち上げるのは良くない」との批判も受けた。
白坂氏は「分析対象にされたことがまず腹立たしかった。対等に意見してくれるならいいんですけど、上から分析されるというのは納得がいかない。問題意識を共有しているなら、どの雑誌に(寄稿が)載っていてもいいじゃないですか」と述べる。
一方で、藤井氏の論考については一定の共感も示した。「幼い頃から北朝鮮の核実験や尖閣周辺の衝突事件、東日本大震災、コロナといったものが日常としてあったからこそ、若者の危機管理意識が強くなって、昨今の保守化という現象が起きているんじゃないかという分析は、かなり共感しました」と語る。
これに対し、東京都立大学大学院で社会学を研究する山下佳也氏は、「WiLLを評価するなんて恥ずかしいと言っている人たちは、仲間を失うのが怖いだけの人たちなので、しょうがない」と一定の理解を示す一方、「白坂さんは最近、共同体の中で然るべき位置にいて、人間関係に恵まれていれば幸せに暮らせるという感じの発信が多い。それ自体がダメとは言いませんが、保守なら保守で保守論客としてやっていけばいいだけで、そんなにリベラルにこだわる必要はないのではないか」と指摘する。
白坂氏はこれに応じ、「リベラリズムが重視する“個人の意志”というものは、何もないところからは生まれない。経験や関係性、その土地の慣習や様式から生まれてくる。そういう関係性を保障するものが保守的な感性から発生するもので、その自覚的な感性をリベラル的な感性が守るという循環構造があると思い、“保守リベラル宣言”のようなことを言いました。保守とリベラルはそこまで対立概念ではない」と説明する。
白熱する議論の中で、リベラルは「話が長い」と指摘される場面も。白坂氏は心当たりがあるようなリアクションをとったが、山下氏は「おっしゃる通りだが、リベラルの『話が短くなっている』ことも問題。今、一番話が長いのって石破さん(石破茂・自民党前総裁)とかじゃないですか」と指摘した。
■「弱者憑依」がリベラルを蝕む——白井氏の仮説
