■「弱者憑依」がリベラルを蝕む——白井氏の仮説
京都精華大学教員で政治学者の白井聡氏は、日本のリベラルが勢いを失っている背景について独自の分析を展開した。白井氏は「弱者憑依」という言葉を用いて、リベラルが抱える問題を指摘する。
白井氏は、いわゆる“リベラル”の政治家が市民団体の集会などで「弱者のために頑張ります」と繰り返し訴える姿に、強い違和感を持つようになったという。「それは聴衆に対して『あんたたちは弱者だ』と言っているということじゃないですか。弱い、弱い、だから私のような者が助けてあげる。だから私に一票を入れなさいと言っているわけです。面と向かってお前は弱いんだという発言を、失礼じゃないと感じさせる言い方はないですよ」と述べる。
さらに「この論理でいくと、弱者が多ければ多いほどいいという話になってしまう。本来政治の役割は、困っている人に手助けをして、強くなってもらうことのはずなのに、弱者を弱者のままに留めておく、あるいは弱者に転げ落ちそうな人にどんどんそうなっていくよう誘導してしまうような政治になってしまう。そのように国民にも見えているから、リベラルが弱くなっているんじゃないか」と分析。さらに白井氏は「自分こそが弱者の代弁者だ」というレトリックを使うことで「お前の主張は強者の論理だ」と相手の主張を退けることができるとして、こうした論法が乱用されているとの見方を示した。
コラムニストの河崎環氏は、左翼的な活動家の親戚に囲まれて育った自身の経験を踏まえ、「彼らは絶対変わらないから、ある意味では筋は通っている。ただリベラルというふわっとした言葉は、戦後ずっと気分として優等生で、この意見を言っている限りはちゃんとした教育を受けてきた人、みたいな使われ方をしてきたと思う」と語る。経済学者の柿埜真吾氏も「リベラルという言葉自体が、90年代にソ連崩壊で理想をなくした人たちが看板を掛け替える形で使い始めた言葉で、そもそも何なのかがはっきりしなかったことが今の状況の一因」と自身の見方を示した。
■「夢のビジョン」なければまとまれない——再生への道筋
