■「サブカルを安易に受け入れてくれるな」
江崎氏が発信する「病みかわいい」は、メンタルヘルスと密接に結びついたカルチャーだ。「共通する心の病だったり、そういった苦しみを抱えている人たちの共通言語であってほしい」と江崎氏は語る。13年前に発信を始めた当時、日本社会ではメンタルヘルスへの理解がほとんどなく、SNSで心の苦しみを口にすれば批判が飛んでくるような状況だったという。その環境が少しずつ変わってきたことには手応えを感じつつも、「必要以上にメインストリームに広がりすぎてほしいという感じではない」と明確に線を引く。
ライター・Podcasterの速水健朗氏は、政府が主導した“クールジャパン”が壮大に滑った一方で、世界で実際に受けている日本のカルチャーにはメンタルヘルスに関わるものが多いと指摘し、「日本が世界に通用した唯一のジャンルだった」と見解を述べた。メルカリ AI strategyのハヤカワ五味氏も「オタクやサブカル、アングラといったジャンルがメジャーになった」と同調し、かつてオタクが「キモい」と言われていた時代との変化を語った。
江崎氏はその変化に複雑な思いを抱く。「オタク文化は、スクールカーストのヒエラルキーの一番下の子達のものだったのに、最近はメジャー化しすぎたことによって、ヒエラルキーのトップのイケてる子達も漫画やアニメを消費するようになった。本当のオタクの子達や根暗の子達の居場所がないというSNS投稿をよく見かける」。江崎氏は「そんなに簡単にオタクを許容しないでって。もっとオタクってやっぱり気持ち悪いものとして、昔はオタクの中でも自重しろって言い合っていた」「サブカルを安易に受け入れてくれるな」とキッパリ言い放つ。
TikToker・YouTuberのYuna氏も「こっそり教室の陰で絵を描いているのが楽しいから、声をかけないでくれっていうのがある。邪魔しないでくれって。そっちに(イケてる子達の側に)入りたくないから」と共感を示した。
■「日陰でいい。大量消費だけは免れたい」
