■「SNSには魂を置かない」――アルゴリズムから逃れる生存戦略
では、サブカルチャーはどのように価値を守っていけばいいのか。江崎氏は具体的な「生存戦略」を実践している。「SNSとかには作品とか自分の魂を置かずに、ただの入り口として置いておく。自分の作品やコンテンツは個人サイトやブログに載せて、その入り口だけをちょっとSNSに流しておくぐらいの感じで、くぐらせるという工夫をしている」。さらに「あえて『バズらない』という意識をちょっと持っている」と語り、アルゴリズムから距離を置くブランディングを意識的に行っているという。
X(旧ツイッター)の「おすすめ欄」がアルゴリズムの変化によって、フォロワーがゼロに近いアカウントの投稿でも突然、おすすめ欄の上位に表示されるようになったことを、江崎氏は「日陰の存在がすぐに見つかってしまうリスクが上がっている」と警戒する。病みかわいいカルチャーが海外でも大きなファンダムを形成するようになった今、「私の手の届く範囲でコントロールできない状況になってきている」とも感じている。
海外に拡散した際に起こる“誤解”も悩みの種だ。「私が投稿した作品のキャプションやキャラクターのセリフはすごく切実で、内面の闇を描いている。だけどその部分を勝手に翻訳して全然違う意味にされてしまったり、私の描いたアートの上から自分の政治的な主張を乗せて投稿する人がいて、知らないところで炎上したりしている」と江崎氏は語る。「切り抜きが一番されたくない」という言葉に、表面だけが切り取られることへの強い拒否感が滲む。
速水氏はサブカルの行方について「一つは伝統を守るためにずっとサブカルってものを守っていくのか、実は日陰の人たちって新しくどんどん生まれていて、その人たちにウケるものを新しく提供し続けることがずっと続いているだけなのか、両方ある」と整理した。ハヤカワ五味氏も「ネットで可視化されすぎて、なんかそこそこいるなという感じでちょっと冷める」という特別感の喪失を指摘しつつ、「10年前は私しかこの作品の良さを知らないという感じだった」と当時を振り返った。
江崎氏は最後にこう語った。「サブカルチャーがサブカルチャーでいられるような工夫を、それぞれちょっと考えてほしい。日陰でいいということです」。平石直之アナも「無理して変な切り抜きはしないでください」と呼びかけた。
(『ABEMA Prime』より)
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