「噛みつくから」「長毛だから」飼い主に捨てられた秋田犬たち…“秋田犬が嫌いだった”ドッグトレーナーとトラウマ抱えた元噛みつき犬の“更生”「どんな形であれ命を救いたい」

テレメンタリー
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■信頼のリードを握りしめて

ドッグトレーナーの鈴木明子さんと秋田犬の大河
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 どんな犬でも、何歳からでも、トレーニングで変わる事ができる。鈴木さんは「いい飼い主さんって、1番怖くて、1番大好きな人」と語る。命を守る「いざ」という時のため、1番怖い存在でいることも必要だ。

 大河とのトレーニング中、その様子が垣間見えた瞬間があった。「そこに座って。座って。動くなよ」「動くなって言ったでしょ。だめ、バック」「動くなって。だめ。集中力ゼロじゃん。座れ。動くな。…よーし、よしよし」集中が切れてしまった元噛みつき犬の大河に、厳しく接する鈴木さん。叱る事ができるのは、信頼の証だ。

 保護された秋田犬たちには、成長した姿を発信する場がある。商業施設に設置された「秋田犬ステーション」。秋田犬に会える場所だが、実際に触る事はできない。多くの人と触れ合う犬たちの負担を減らすためのルールだ。

「偉いなぁと思う。多い時だと20分とかぶっ続けでだまって座ってなきゃいけなくて。お客さん並んじゃえば次から次とだから。でも偉いなと思う。自分で教えておいて何だけど」

 秋田犬ステーションの他、駅や空港などにも出向き、観光客を迎える仕事をする秋田犬たち。しかしそのメンバーに、大河は入っていない。

  長距離の移動に必要不可欠な「車」。大河が何よりも苦手なものだ。「車に乗っけられて連れて行かれた先が保健所で、そこに置かれましたってなった時のこの子の心の中って言ったら半端ないと思う」と話す鈴木さん。噛みつき事故を起こした大河を飼い主が車で保健所へと連れていったことがトラウマなのではないかという。

 「車に乗れないことは里親さんに繋がらないから、車に乗れるようにしようと思って結構集中してやった時があったけど、そのダメージが大きすぎて…」鈴木さんは、犬が高齢になってから環境が変わるのは負担が大きいと、譲渡先を探すのは10歳までと決めている。大型犬の10歳は、人間でいうおよそ70歳だ。

「そんな人を2人も噛んで怪我させた子に見えないでしょ。最初はすごかったけどね。誰も寄せ付けないっていう感じで」

 大河に向けられるのは厳しい現実だ。「譲渡希望者にこういう(噛みつきを起こした)子ですって言うと、うーんって言われる。気持ちもわからないわけじゃないけど。せっかくいい子になっても、ずっとそういう色眼鏡で見られるのかわいそうだなって」と吐露する。

 大河は今8歳、鈴木さんと出会って5年。「とりあえず今車に乗れなくても困んないもんねって言って止めたんだよね。聞いてる?大河。あのさ、嫌な会話は横向かないで。ちゃんと聞いて。ちゃんと教えたいんだから」と語りかける。

 秋田犬11頭を、ほぼ1人で世話する鈴木さん。譲渡先を見つけることは、次の命を救う可能性に繋がる。「今でもキャパオーバーではあるから。だけど、そういう命があったら、どんな形であれ救ってあげないとなって思う。そのために愛護センターもあることだし。動物に優しい秋田県ですから」。

 2023年度、秋田県で殺処分となった犬は10頭。その判断理由には、人や他の動物に危害を及ぼす恐れ、施設に入れる頭数の制限などが含まれる。

 命を見捨てない。一度繋いだ信頼のリードを、しっかりと握って──。

※年齢等は2026年1月10日地上波放送時

(秋田朝日放送制作 テレメンタリー『信頼のリード 命つなぐドッグトレーナー』より)

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