■「月になりたかった」——6年間の“ホワイト縛り”生活
高校3年生のころから新型コロナによるロックダウン明けを機に“全身白の生活”を始め、6年間続けているという東京芸術大学に通うニイナさん。髪も服もまつ毛も爪も、身につけるものはすべて白に統一している。そもそものきっかけについて、「スノームーン(2月の満月)の日に月を見ていたら、黒い空間にポッと穴が空いて向こう側に無の空間があるように見えた。制作でもそういった概念を使っていて、それに伴って身体もそうなればいいなと思った」と語る。
“ホワイト縛り”によって、買い物の選択が劇的に楽になったという。「店舗に行ったら白いコーナーにまっすぐ行くので時間がかからない。ネットショップでも色の選択で白を押せば、その時点で数が絞られている」と説明する。
一方で、白の中にも細かいこだわりが生まれ、周囲からは「それはベージュじゃないか」と指摘されることもあるという。次第に「どんどん削ぎ落とされていって、今はこれぐらいの色しか着られなくなっている」と話す。TPOについては意識しており、成人式の際にはグレーや金を差し色として取り入れるなど「白系の範囲でこらえた」という。他の色を着たくなることはあるかという問いには、「すごくあります」と率直に答えつつも、「(白以外のものを買えない時は)傍観するしかない」とも述べた。
この生活は自己プロデュースの側面もあるかという問いに対し、「あります。でも始めてしまったがゆえに楽になっているところがいっぱいある」とニイナさんは語る。さらに、卒業制作のテーマとしても位置づけており、「白い服を着続けた結果、人とのコミュニケーションでどんなことが起きたかをまとめていく。生活実験というか人体実験というか、そういう気持ちもある」と述べた。
コラムニストの河崎環氏は、「生きるということは最終的に自分のテーマを決めていくことなんじゃないかと思っている。4年間は白をやると決めたんだなという感じで、縛ることが創作の延長にもなっている」と評価した。
■70個のルーティンで「余白」を生む——習慣家・井上新八氏の一日
