■70個のルーティンで「余白」を生む——習慣家・井上新八氏の一日
ブックデザイナーの井上新八氏は、自らを「習慣家」と名乗り、毎朝4時に起床して70個以上のルーティンをこなす生活を送っている。体温測定から始まり、ストレッチ、筋トレ、瞑想、ダンス、短歌の歌集を読む、25年続けている日記をつける、ゲームのキャラクターにプレゼントを渡すなど、細かい項目が次々と続く。昼過ぎにようやくルーティンが終了し、そこで朝食をとる。「全部終わって朝ごはんなんです」と語る。
これだけのルーティンを持つようになったきっかけについて、「最初は3つか4つだった。20年ぐらいかけて少しずつ増えていって、気がついたらものすごい量になっていた」と振り返る。順番は「気持ちいい並び」を意識しており、新しい習慣をどこに組み込むかも最初から考えるという。4時に起きられなかった日はそのままスライドし、時短できるものは短縮して対応するとのことだ。
なぜここまで自分を縛るのかについて、「仕事に集中しすぎると他のことが本当にできなくなってしまう。やると決めてやってしまう方が、やれなかったという感覚なく1日が気持ちいい。仕事に注力しすぎると面白いものができてこないと思っていて、ゲームや漫画、アニメなど無駄とされることをルーティンにすることで余白を無理やり作っている。余白を生むために縛りを設けている」と語る。掃除をルーティンに入れているのも、同じ理由からだという。
作家の佐々木俊尚氏は、「人間は選択肢が多すぎると選べなくなるという研究がある。スーパーで24種類のジャムと6種類のジャムを交互に並べてみると、6種類の方が10倍売れた。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが毎日同じ服を着るのも、判断に使うリソースを本当にやらなければならないことに割きたいからだと説明していた。頭を使う時間と使わない時間をきれいに切り分ける方が気持ちいい」と述べ、縛りが思考のリソース管理につながるという考え方を示した。
■「情報が多いほど人間は後悔しやすい」——専門家が語る縛りの科学
