これには木村九段も「自由な発想で楽しかったっていうものは少なくなってるかもしれないね」と同調。対局が終わった後にすぐ将棋ソフトにかけて振り返るのが当たり前になった現代だが、「大体の人が序盤から最後まで一応かけたりしてやるじゃない。でもあれ知らない方がいいこと結構あるよね」「間違えちゃったりとかさ、悪手だったんだ、とかさ。こっちも無駄をやってるような感じもする」と、すべて数値化されてしまうことへの複雑な心境を語った。
行方九段が「感想戦で『これ詰まなかったですね』って言って家に帰って、次の日にAIにかけたらあっという間に詰んだ(笑)」と自虐交じりのエピソードを披露すると、一同は爆笑。木村九段は「前は感覚で勝ってたりするってのもあったでしょう。それが難しいことになってる」と、感覚よりも“正確な答え”が突きつけられる過酷さを口にした。
一方で、AIネイティブ世代に近い27歳の高橋四段も「自分はAIがなかった時の感性を大事にしたいです」と語る。高橋四段が20歳頃だった2019年頃から本格的にAIが普及し始めたというが、最近のさらに若い世代の研究環境はすさまじいという。
「若手の三段の話聞くと、ShogiGUIってあるじゃないですか。あれではなく、ShogiHOMEっていう新しいプラットフォーム使って研究してるみたいな。僕も年をとったのか、ついていけない」と高橋四段。自宅のパソコンと連動させ、指した将棋をその場ですぐにソフトにかけて研究しているという最新事情に、木村九段も「27歳の人がついていけないんじゃすごくなってるんだね」と舌を巻いた。
凄まじいスピードで進化するAI研究について、木村九段が「どっかでやっぱり中毒っぽくなっちゃうよね」と指摘すると、すかさず「我々もそのうちアル中でどっかいっちゃう」とボケをかまし、高橋四段から「やめてください!」と鋭いツッコミが飛ぶ一幕も。将棋界の価値観が大きく揺れ動く中、「どっちが正しいか分かんないけどね」と締めくくった木村九段。ベテランから若手まで、世代を超えた本音が飛び交う貴重な一夜となった。
(ABEMA/将棋チャンネルより)




