将棋の伊藤匠王座(叡王、24)に広瀬章人九段(39)が挑戦する第74期王座戦五番勝負第5局が10月27日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で指され、挑戦者の広瀬九段が121手で勝利を収めた。広瀬九段はシリーズ成績3勝2敗で初の王座を獲得。2018年に羽生善治竜王(当時)を破って獲得した竜王位以来、8年ぶり通算3期目のタイトル獲得となった。一方、初防衛を目指した伊藤王座は連覇を果たせなかった。
運命の最終局は、振り駒の結果で広瀬九段の先手番となり、「相掛かり」へ進行。伊藤王座も周到な研究を用意していると見られ、比較的早い段階で角銀交換が行われるなど、午前中から駒が激しくぶつかり合う展開となった。
途中までは解説陣も伊藤王座の研究通りの進行と見ていたものの、盤上は次第に難解さを極め、伊藤王座が連続長考に沈む展開へ。特に9筋の香車の駆け引きが強烈な攻防となったが、広瀬九段は後手の攻めを冷静に受け止めると、絶妙な香打ちの好手を放って主導権を掌握した。
夕食休憩前後では伊藤王座が苦しいとの見解が示される一方で、検討の過程では逆転の変化手順も複数浮上するなど緊張感が漂う中、夜戦突入後は互いの意地がぶつかり合う白熱の終盤戦が繰り広げられた。しかし、局面の勝負どころで広瀬九段が持ち味でもある切れ味の鋭さを遺憾なく発揮。渾身の粘りの中から追撃を狙う若き王座を冷静に押し切り、フルセットの死闘を白星で締めくくった。
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