■「生き方を制限している」家族手当を廃止した老舗メーカー
こうした中、従来の仕組みを見直し、家族手当を廃止した企業もある。創業120年の缶メーカーである側島製罐の代表取締役・石川貴也氏は、廃止に至った経緯を語る。
「生き方によって給料が変わってしまうとか、損をするみたいなことっていうのはある意味会社がやや支配的というか生き方を制限しているというか。そういう側面はあるなと思っていて、悩みに悩んでやめました」
“会社が家族ごと守る”という家族手当の良さは理解する一方で、もらえない側の立場に立ったときに公平感を拭えないと考えた石川氏は、給料は仕事のパフォーマンスに対して支払われるものという基本に立ち返り、廃止を決めたという。
「インパクトのある金額だったとは思います。子どもが2人・妻がいる家庭と、独身の人を比べると数万円ギャップがあった。手当をもらっていた人がもらえなくなるのは不利益になってしまうので、そうならないように全部基本給に丸めて片寄せして、もっと安定するというか、基本給で全部もらえるような仕組みにした」
仕事と家族の変化について研究するリクルートワークス研究所の主任研究員・大嶋寧子氏も、企業の間で家族手当を見直す意識が高まっていると指摘する。
「リクルートワークス研究所が行った調査でも、30〜59歳の人たちのうち、正社員同士の共働きや単身正社員が非常に増えている、それから配偶者を持つ人の間でも子どもを持たない割合が急速に高まっていることが見えている」
実際に2015年以降の調査結果を見ると、正社員同士の共働きは10.5%から12.2%に、単身正社員は16.3%から22.7%に上昇している。
これらを踏まえ、大嶋氏は「例えば働き方の面でも育児中の人だけを支援するのか、あるいは手当を家族を前提に払っていくのか、そういったことを従業員の働き方・賃金・労働条件の面で見直していかなければいけないという岐路に企業は立っていると思う」との見方を示した。
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