■「弱い社会保障を会社が肩代わり」歴史的な意義と変化
崔氏は自身の新入社員時代を振り返り、「子どもがいる方、配偶者が専業主婦の方ではそれぞれ手当が違う、そして独身者は何もないのかと驚いた。しかも、そういう手当がない企業に勤めている方はそもそももらえない。ものすごい格差だなと思いつつ、手当込みで給料を考えなきゃいけないのかなど違和感があった」と当時の心境を語った。
家族手当が日本社会に広がった背景には、高度経済成長期の企業による従業員確保の狙いや、基本給を比較的抑えられるという利点があった。
これに崔氏は「高度経済成長期って人もたくさんいるし、人の取り合いだから少しでもプラスアルファして、しかも基本給をどんどん上げてしまうとなかなか減らせないので、手当としたのだろうなと思う」と分析。さらに「いろいろな研究を読んでいた中で面白いと思ったのが、当時の労働組合の方々がこういう手当は必要と訴えたことも影響していたのと、当時は共働きってそこまでメジャーではなく1人の男の人がみんなを育て上げる前提だったからこそ受け入れられたんだなと感じる」と語った。
また、大嶋氏によると、特に2010年頃までの日本は現役世代向けの社会保障が弱く、家族分野への支出規模が諸外国と比べて低くかった。そのため、社会保障を企業が「家族手当」という形で事実上肩代わりしてきたという歴史的背景もあったという。
崔氏は現在の状況について、「現在は、他の国に比べるとまだ水準は低いがかなり回復してきている。今、単身世帯の方が増えていることを考えると、こういった家族手当を何で企業が負担するの?という点に疑問の目が向けられてもおかしくない」と指摘した。
家族手当を支給する企業の割合は減少傾向こんな記事も読まれています
