■無用な対立を生む「車中心社会」と整備が進まない専用道
こうした利用者と歩行者の対立の根底には、インフラの未整備があるとの指摘も出た。立命館大学准教授・富永京子氏は「子どもを乗せるのがありかなしか、スピードを出すのがありかなしかというよりは、そうせざるを得ないような交通の状況があり、自動車中心の社会になってしまっていることの問題だ。無用な対立をしてしまっている感じがする」との見方を示した。
また、コラムニスト・河崎環氏は「基本的に自転車は買い物をして前後に子どもを乗せるようなものとして、そもそも発明されていない。それなのに、欧米のようにきちんと自転車用の道が整備されない中で、車道と歩道のどこかにいるような曖昧な実践をされてきた」と指摘した。
司氏は、行政の取り組みの遅れについて「5月に政府が『自転車活用推進計画』を閣議決定し、自転車をもっと利便性のあるものにして道路空間も大きくしようと国でうたっている。ただ、道路は国、都道府県、市町村とそれぞれで作っていかなければならず、現段階で全国の市町村で計画を立てているのは20%もない状況だ。今回の件が、まちづくりや道路をどうするか、歩行者、自転車、自動車それぞれの利便性を向上するにはどういう道路整備が大事なのかを議論するきっかけになるチャンスだ」と語った。
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