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 「産んでくれたら最大200万円相当の援助」。ネット上で赤ちゃんを斡旋する「ネット赤ちゃんポスト」のウェブサイトに並ぶ、刺激的な言葉。

 運営するNPO法人「全国おやこ福祉支援センターサービス」代表理事の阪口源太氏によると、望まない妊娠や、様々な問題から自分で育てられない親の元に産まれた子どもの実に9割が乳児院などの養護施設に送られているという現実から、「特別養子縁組」という仕組みがあることを母親たちに知って欲しいという狙いがあったという。

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 「施設で育つお子さんというのをまず減らしていくことですよね。将来、愛着障害などになることもありうるのに、リスクを一切説明せずに乳児院へ入れてしまうんですよ」(阪口氏)。

 「中絶を考えられている方へ「産んでくれたら最大200万円相当の援助」があります」という表現については、「(妊娠して)お腹が大きくなってきたら女性は仕事ができない。安全に出産するために最低限生活保護レベルの資金援助というものが必要になってくる」と、その理由を説明した。

 阪口氏自身も、子どもに恵まれず、養子を引き取り育てたかったと話す。しかし児童相談所では何百人もの希望者に対し、マッチングしたのは実現、年間1、2件ほどだったという。

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 そこで始めたのが、ネット上での特別養子縁組のマッチングだった。産みの親が入力した養父母に求める条件と、養父母希望者が入力した職業や収入、財産、育児支援者の有無などのデータをマッチングさせ、上位3人の候補者が面談の権利を得る。そして養父母候補者は、マッチングが成立した時点で出産までにかかる生活費など200万円を上限に、産みの親に支払うことになる。

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 運営側は、従来は面談で聞き取り調査をしたり、郵送で書類をやりとりしたりと、マッチングまでに多くの時間を要したことから、それらをネット上で済ませることで必要な手続きが大幅に短縮できると、その利点を強調。慶應義塾大学特任教授の若新雄純氏も、居住エリアが離れていて、面談が難しいケースや、条件から養父母候補が見つかりにくいケースも、ネットを使うことでマッチングしやすくなるとメリットがあるのではないか、とした。

■「時間をかけて面談を重ねることが大事だ」

 しかし、この「ネット赤ちゃんポスト」の「手軽さ」に対しては、懸念の声が多いのも事実だ。実際、大阪市から行政指導も受けている。

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 特別養子縁組を斡旋する「ベビーライフ」代表理事の篠塚康智氏は、子ども養子に出す親ち引き取る親と、時間をかけて面談を重ねることが大事だと話す。

 「夫婦別々の面談があるが、そこで夫婦の関係をを見抜いたりする。実際に養父が"あまり乗り気ではない"とポロっと漏らしてしまうということもある」(篠塚氏)。

 これまで230件以上の養子縁組を成立させてきた篠塚氏の団体でも、養子縁組が成立してから6ヶ月までの間に、縁組が解消されてしまうケースがあったという。

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 また、ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗弁護士は「人身取引」の観点から、「200万円もらえるということが、父母に育ててもらうという子どもの権利を侵害しているという意味で、法に抵触する可能性がある」と指摘する。

 土井氏によると、子どもには産みの親に育てられる権利があり、その産みの親が育てられるよう最大限の支援をし、どうしても不可能な場合「金銭などの対価ではなく、自由意志で子どもを手放すということが重要だ」と訴えた。

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 昨年12月には、質が低い斡旋団体を排除し、質を向上させるための「養子縁組あっせん法」が成立している。これまで、届出さえすれば誰でも養子縁組の斡旋ができたが、施行後は自治体の許可と必要になるほか、罰則規定も設けられることになる。

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 この新法によって、「ネット赤ちゃんポスト」のようなサービスに対しては、さらなる行政指導などの対象になってしまうのではないかとの疑問に対し、阪口氏は「むしろ我々が問題提起をした結果が法成立」と話す。

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 全ての子どもたちが十分な環境や愛情の元で育られるのが理想だが、近年、育児放棄や虐待の末、生後間もない我が子を殺してしまうような事件も数多く報じられている。日本で虐待を受けて亡くなる子どもは年間36人で、ほぼ10日に1人のペースだ。

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 また、過去10年間で特別養子縁組が成立した件数は2012年の339件から2015年には544件にまで増加しており、ここ数年間で大きく増加しているのが分かる。特別養子縁組の仕組みが広く認知され普及していく中、仕組みの効率化がもたらす様々な課題もクローズアップされていきそうだ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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