今、将棋界に大きな世代交代の波が起きようとしている。1969年から1971年に生まれ、将棋界で大活躍したいわゆる「羽生世代」に対し、20代半ばからさらに若い新世代が続々とタイトル戦に登場。長くトップの君臨し続けたベテラン棋士たちの座を虎視眈々と狙っている。日本将棋連盟の理事を務める鈴木大介九段(43)によれば「25歳最強説というのがある。今の将棋界は20代が強い」という。成長著しい若手棋士と、今なおトップを走り続けるベテラン棋士、現在の将棋界の勢力図を確認してみた。

 今売り出し中の若手棋士は、20代半ばを中心に年々成績を伸ばしている。王位戦で羽生善治二冠(46)を下し、タイトルを獲得した菅井竜也王位は25歳。棋聖戦五番勝負に登場した斎藤慎太郎七段は24歳。プロ入りから数年が経ち、若き才能や判断力に経験が加わり、棋士として脂が乗った状態を迎えている。まさに「25歳最強説」を実証するような活躍ぶりだ。

 この25歳に向けて、今伸び盛りの層も分厚い。2016年度勝率1位の青嶋未来五段(22)、棋王戦で挑戦者決定戦まで進んだ佐々木勇気六段(22)に加え、八代弥六段(23)、佐々木大地四段(22)、近藤誠也五段(21)らの名前が並ぶ。さらには10代棋士として新人王戦で優勝経験を持つ増田康宏四段(19)、そして29連勝の大記録を樹立した藤井聡太四段(15)がいる。デビュー間もない棋士であれば、勝率7割超もごろごろいる、天才だらけの状態だ。

 この若手たちに壁となって長く立ちはだかっているのが、天才集団として君臨し続ける「羽生世代」だ。永世名人の資格を持ち、タイトル通算12期の森内俊之九段(46)は2002年から2015年までの間、羽生二冠と名人の座を2人で守り続けた。さらに名人の挑戦者にも2009・2007年の郷田真隆九段(46)、羽生世代のやや年下になる行方尚史八段(43)が2015年、三浦弘行九段(43)が2010年に登場するなど、羽生世代を中心とした年齢層で名人の座が争われ続けてきた。

 このほか史上最年少でタイトルを獲得した屋敷伸之九段(45)、タイトル戦に6回出場し今なお上位リーグで活躍する木村一基九段(44)など、若手であってもそう簡単には打ち破れない大きく分厚いベテラントップ棋士の壁が形成されている。鈴木九段も「将棋の頭脳スポーツになってきている。そのうち30歳ぐらいで引退という時代が来るかもしれない。そう考えると、羽生世代は異常に強い」と、衰え知らずの実力に舌を巻いている。

 公式戦はもちろんのこと、9月30日からはAbemaTVの対局企画「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」で、若手7人とベテラン7人の“世代間抗争”も勃発する。盤上では先輩も後輩もなく、食うか食われるかという厳しい勝負の世界。藤井四段が巻き起こした空前の将棋ブームの中、勢力の移り変わりを目の当たりにするかもしれない。

(C)AbemaTV

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魂の七番勝負~若手VSトップ棋士~ 第一局 | AbemaTV(アベマTV)
魂の七番勝負~若手VSトップ棋士~ 第一局 | AbemaTV(アベマTV)
若手棋士7人がトップ棋士7人に挑む魂の七番勝負第一局。世代交代なるか!注目の第一局は雑草魂・佐々木大地四段が最年少でタイトルを獲得した記録を持つ屋敷伸之九段に挑む。持ち時間一人2時間。切れたら1分。