家族一丸となって将棋にかけた棋士がいる。佐々木大地四段(22)だ。地元は長崎県対馬市。自然豊かな島で育った佐々木大地四段は、対馬出身としては初のプロ棋士となるため、家族ごと横浜市に引っ越し奨励会入りしたというエピソードを持っている。「対局姿を地元の人に見ていただいて、満足してもらえるような将棋が指したい」という若者は、プロ入り前も、プロ入り後も苦労続きだった。
対馬は九州地方と韓国の間、対馬海峡に浮かぶ「国境の島」。佐々木少年は自然が豊富で、漁業が盛んな場所で育った。「いろんなものが釣れたり、取れたりするんです。今でも対馬に帰省する時は、魚釣りをしています」。3歳ごろ、父と祖父が将棋をしている様子を見て覚えると、めきめきと上達。2004年には岡山県倉敷市で行われた「全国小学生倉敷王将戦」の低学年の部で優勝するまでになった。