凛とした空気をまとう棋士である。郷田真隆九段(46)には、代名詞となっている二文字熟語がいくつも存在する。
「剛直」。居飛車党本格派で直線的な棋風は「剛直流」と称されている。名字の「ごう」の響きとも相まってファンの間に定着している。美しいスタイルは「まるで教科書のような」と語られることもあるくらいだ。
「長考」。妥協するような手を選ぶことを嫌い、序盤でも長考を厭わない。持ち時間が6時間と最も長い順位戦では、一手の考慮で2時間を超えることもある。ただ、日本シリーズ3連覇(1993~95年度)、NHK杯戦優勝(2013年度)など早指し棋戦でも実力を発揮する。