今年5月、増田康宏四段(19)がWEBサイト「将棋情報局」内で答えたインタビューは将棋界やファンの間で話題になった。「詰将棋、意味ないです」発言もさることながら「矢倉は終わりました」とのひと言は大きな衝撃を与えた。
 「矢倉」は将棋の戦型のひとつ。古来より指されており「将棋の純文学」とも称されている戦い方だ。伝統的なスタイルだけに、現代の将棋界では主にベテランが得意とする。矢倉は居飛車の戦型のひとつだが、振り飛車党である藤井猛九段でさえ「藤井矢倉」というオリジナルの指し方を創案し、武器として用いてきた。ゆえに「矢倉は終わりました」のインパクトは強烈だったが、約半年の時間が経過した今、かのインタビューは衝撃ではなく「先見の明」という視点で語られるようになっている。