百折不撓。木村一基九段(44)の座右の銘だ。心を何度折られても立ち上がって闘う、という意味である。全ての将棋ファンから声援を受けている、といっても過言にはならない稀有な棋士だろう。
昨夏の王位戦七番勝負に挑戦者として登場したが、フルセットの末、3勝4敗で羽生善治王位(当時)に敗れ、悲願のタイトル奪取はならなかった。終局直後、主催紙記者から「残念ながら…」と問われた時、言葉を発することが出来なくなったシーンは多くの将棋ファンの共感を呼んだ。タイトル挑戦は6度目だったが、まだ奪取に至っていない。あと1局勝てば…というところまでも何度も達しているだけに、木村九段のタイトル奪取はファンにとっても悲願になっている。