今年で14回目を数えるセ・パ交流戦。毎年「パ・リーグが強い」とつぶやくのが、もはや野球ファンのルーティンとも言える。2005年からの数字を振り返ると、2017年までの13シーズンで、パ・リーグはセ・リーグに対して実に12シーズンの勝ち越し。通算の勝敗数でも981勝872敗55分。あえて「貯金」というならば、109個あった。そして2018年。6月9日にセ・リーグが全勝。さらに10日も4勝したことで、33勝33敗と久々に拮抗した争いになっている。西武・ヤクルトと両リーグで活躍した野球解説者の鈴木健氏は、過去の成績を振り返り、「パ・リーグの投手は圧倒的に球が速い」と、元打者ながら投手力の差を挙げた。
![過去13年はパ・リーグの12対1 2018年交流戦の行方は? 鈴木健氏「パの投手は圧倒的に球が速い」](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/724w/img_44fd642c97a6079ce6d4071f31a29fad590356.jpg)
かつては「剛球」とも言われた球速150キロのストレートも、近代的なトレーニングや体格の変化からか、今では珍しくなくなった。それどころか先発投手が試合終盤になっても、ここぞという場面で力を入れて、その日最速のボールを投げることもある。鈴木氏は「圧倒的にパ・リーグの方が、球が速いピッチャーが多い。しかも若い。みんな当たり前のように150キロを投げる。セ・リーグだと、投げてみないと分からないピッチャーも多いし、活躍している選手とその次の選手の差が大きく感じます」と、リーグ間のレベルの差は明確だという。
投手がよければ、対戦する打者も鍛えられる。ソフトバンク、西武といった強力打線を誇るチームが、交流戦でも早々に2ケタ本塁打を記録するなど、打ちまくっている。「パ・リーグの方が、総合的に選手がそろっているチームは多いですね」と、ドラフトで毎年注目選手をパ・リーグの球団が獲得してきた結果が、確実に選手層となって現れている。
古くは「人気のセ、実力のパ」とも言われ、注目度は大きく異なっていた。「報道陣の数も、セとパじゃ全然違いましたからね。テレビや新聞の取り上げ方も違った。巨人戦は毎試合、地上派で放送していたし。日本シリーズで巨人や阪神と戦う時は、パ・リーグの選手も気合が入ったと思いますよ」。ただ近年では、メディアの扱いにも徐々に差がなくなり、人気球団相手でも気圧されることがなくなったのでは、と推測する。「パ・リーグの選手が、逆にセ・リーグを見下ろすぐらい、少なくとも対等ぐらいの感じでやれているんじゃないですかね」と語った。
テレビの地上派放送が減り、CS放送やインターネット局での中継では、12球団がほぼフラットになった。全野球ファンが注目するWBCの日本代表「侍ジャパン」のメンバーも、パ・リーグの選手の方が多い状況だ。勝敗が並んだ両リーグ。今年もここからパが強さを見せるのか、セが踏ん張るか。
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