すべてのセ・リーグファンが戦々恐々とするセ・パ交流戦。4カード目を終え、今年も上位6チームのうちパ・リーグが4チームを占めるというパ・リーグの優勢の様相を呈している。今季は9、10日にセ・リーグが盛り返し勝敗数では拮抗しているが、過去の13シーズンではパ・リーグが12対1と大きく勝ち越している。
なぜ毎年パ・リーグ優位は動かないのか。横浜DeNAのOBで野球解説者の多村仁志氏は、「DHのあるなしが、戦い方だけでなく選手層の厚さにも影響している」と指摘する。 パ・リーグのチームが、DH制を採用するパ主催試合で強さを発揮するのは当然だろう。ならば逆に、セ主催試合ではセ・リーグのチームが優位になるのではないか。しかし実際にはセ・パの星は五分にはなっていない。多村氏によると、シーズンをDH制で戦っていることでパ・リーグに必然的に好投手が多くなるのだという。
打者8人の野球と打者9人の野球はまったく違う。多村氏は「常に9人のバッターに対して投げているピッチャーか、1アウトを確実に計算できる中でピッチングしているピッチャーかで差が出るのでしょう。また、打線にバッティングは期待されないピッチャーが入ることによって、そのピッチャーの打席だけでなく、前のバッターに対しても有利に考えられるんです。『歩かせて次のピッチャーで勝負』など、余裕ができる。パ・リーグにはその穴がない」と説明してくれた。そのため、パ・リーグに力のあるボールを投げるピッチャーが必然的に増えるという傾向が出てくるのだ。
実際、パ・リーグには150キロを超えるストレートを投げるパワーピッチャーは多い。多村氏は、パ・リーグの各球団の監督と話す中で「セ・リーグのチームと対戦するときは、軟投派より速球派が来てもらったほうがチャンスはある」という話をよく聞くそうだ。5日の横浜DeNA対西武の試合で、1点差で登板した横浜DeNAの三嶋が西武の浅村、山川に連続ホームランを打たれたケースがまさにそれ。パワーピッチャーに慣れているパ・リーグのバッターにとっては「力では負けない」という感じなのだろう。
まだまだ交流戦も折り返し地点。セ・リーグがパ・リーグの誇る好投手をどう攻略するか、そして打線をどう抑えるか。横浜DeNAをはじめセ・リーグ球団もこのまま黙ってはいないはずだ。
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