39歳の現役最年長関取が数々の試練を乗り越え、また一つ大きな“勲章”を手にした。十二日目の十両の土俵で安美錦が希善龍を肩透かしで下し、通算勝ち星で昭和の大横綱大鵬を抜く、史上単独8位の873勝とした。
 今場所は序盤から快調に白星を重ねていき、8日目に6勝目を挙げて大鵬の記録と並ぶと「長く続けて並べるのは光栄なこと。不思議な気持ち」とうれしさと恐縮する気持ちが交錯する心境を口にした。しかし、その後は3連敗と足踏み。4日ぶりの白星を挙げて“大鵬超え”を果たしたこの日は「そんなことを考える余裕はないよ。連敗を止めたかった」と表情は引き締まったままだった。