スポーツ界で相次ぐパワハラ問題に齊藤明雄氏も困惑「線引きが非常に難しい」

　スポーツ界で相次ぐパワハラ問題は、野球の指導の現場にも影響を与えているのかもしれない。8日に行われた横浜DeNA対ヤクルト21回戦で、AbemaTVの解説を務めていた齊藤明雄氏（63）が、自身の経験を引き合いに出しつつ、厳しい指導をすることがパワハラにあたるかどうかの「線引きが非常に難しい」という見解を述べた。

　現役時代には100勝100セーブを達成し、引退後は横浜の投手コーチとして1998年の日本一に貢献した齊藤氏だが「どこまで言っていいのやら……」と困惑しているのが、指導の現場での“パワハラか、否か”の基準についてだった。

　前年は最下位に終わったヤクルトが、ここまでセ・リーグ2位とクライマックスシリーズ進出に向けて奮闘を続けている状況について、解説の齊藤氏は「宮本（慎也）ヘッドコーチの目が相当光っているんじゃないですか？　明らかに去年よりも選手の動きが良くなってますからね」と解説。さらに「厳しい言葉もかけるでしょうけど、そのぶんちゃんとフォローもしていると思いますよ」と続け、宮本ヘッドコーチの存在感と指導力を高く評価した。

　ここで実況が「今はいろいろとパワハラ問題などもありますけれども、厳しさも上を目指すためには必要ですよね」と水を向けると、斎藤氏は「プロ野球の指導でも『これはちょっと言わなきゃいけないな』というのはありますからね」と同調。スポーツ界を中心に非常にデリケートになっている昨今のパワハラ問題を踏まえた上で、「（どこまで言っていいのか）線引きが本当に難しいですね。僕らがコーチとしてポンポンと肩を叩いて『頑張れよ』と声をかけることが、結果的にパワハラになるかもしれないですから。ミスをした選手に対して『なにやってんだよ！』と注意するのもダメなのかな、と思いますし」と指導者の目線から苦悩を語った。

　成長するためには厳しい指導が必要なのも確かだが、選手のこともしっかりと守らなければならない。選手と指導者、どちらの立場も深く理解している齊藤氏も思わず困り顔になってしまうパワハラ問題の落とし所はあるのだろうか。

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