今夏は、全国高校野球大会で準優勝した金足農業高が日本中に一大旋風を巻き起こした。実は角界でも“金農フィーバー”が密かに沸き起こっていた。大ベテランで秋田県出身の十両、豪風は同校OB。母校のために寄付金も入れたそうだ。
奇しくも8月に秋田市で行われた巡業当日が、甲子園での決勝戦の日であったのも何かの縁か。夏巡業用の明け荷に詰めていた唯一の化粧まわしは、金足農業高から贈られた、校章のデザインが施されたものだった。
巡業中は時間が合えば、母校の試合をスマホで観戦。思わず胸が熱くなり、涙をこらえるのが大変だったという大ベテランは「野球部の後輩たちが輝く姿を見せてくれた。今のモチベーションを支えてくれているのはあの姿です。自分もこの流れに乗って、しっかり強い気持ちでやっていくだけです」と後輩からパワーをもらい、誓いも新たに。秋場所も引き続き、土俵入りでは母校から贈られた化粧まわしを締めている。
「勝ったとか負けたとか（験担ぎ）ではなく、自分の気の済むまで」と土俵上でも母校愛を貫く。
昨年春場所後に右肘の手術を受けて以来、低迷が続き、今年春場所には13年間守り続けてきた幕内の座を明け渡すことになり、十両に陥落。一時は引退も頭によぎったほどだったが現役続行を決意し、1場所で再入幕を果たした。
再び十両となった今場所は初日、英乃海を送り出して白星発進。いい流れに乗っている39歳は幕内復帰を視野に入れ、さらにその先を見据えている。
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