優勝回数41回をはじめ幕内1000勝超えなど、横綱白鵬が樹立した数々の記録は今後も更新は不可能とまで言われている。しかし、強い力士だけが歴史に名を残すわけではない。現役生活27年目で41歳の澤勇は、今場所がちょうど序ノ口通算在位100場所目。もちろん史上1位の記録だ。
相撲経験はおろかスポーツ経験も全くないまま、1992年名古屋場所、本名の澤原で初土俵を踏んだ。初めて番付に名前が載った翌秋場所は序ノ口六十枚目で3勝4敗。続く九州場所で4勝3敗と初めて勝ち越すと1993年初場所は序二段に昇進したが、7戦全敗で序ノ口に逆戻り。しかし全休で番付外となり、ほぼ2年は土俵から遠ざかった。
1995年初場所で再び番付に名を連ねるのを機に本名から式乃川に改名。しかし、“改名効果”は得られずに大半を序ノ口で過ごすことになる。
心機一転、36歳のときの2013年秋場所から桃智桜に改名。「Berryz工房」など当時、アイドルとして活躍していた嗣永桃子の大ファンだったことから、彼女のニックネームだった「ももち」から取った。翌年名古屋場所で序二段五十三枚目まで番付を上げたが、それが今のところの自己最高位。昨年「ももち」が引退したのを機に、自身も今年初場所から澤勇に四股名を変えた。
「負けて悔しいという気持ちがあるまでは」と気力はいまだ衰えていない。序ノ口在位場所数はこれ以上、伸ばしたくないというのが本心だろう。
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