声優の置鮎龍太郎は、今春にデビュー30周年を迎える。「週刊少年ジャンプ」作品だけでも「SLAM DUNK」三井寿役や「地獄先生ぬ~べ~」鵺野鳴介役、「テニスの王子様」手塚国光役、「BLEACH」朽木白哉役、「トリコ」トリコ役など、数多くのヒット作で人気キャラクターを演じており、長年安定した人気を誇るベテランのひとりとして名高い存在だ。置鮎に「仕事の上で心がけていること」をたずねた。
1年間に数百本のアニメが制作され、フルボイスのゲームが当たり前になり、声優が顔出しでトークするネット配信番組も増えた。置鮎は、「自分のデビューした頃と比べて、声優の活動の場は増えたかもしれません」と指摘する。アイドルやモデルのような仕事をする声優もいまや珍しい存在ではなくなったが、「そういうキラキラした仕事は、いずれ通り過ぎることになるジャンルなので、惑わされないように。『地に足つけてしっかり仕事していこう』って気をつけていないと将来的には難しいですよね」と先輩声優として自身の考えを述べた。
デビューから30年。常に人気作品に関わっているイメージの置鮎だが、「危機感はめちゃくちゃありますよ! ない人はいませんよ」と力を込めて語る。
置鮎 「今お仕事できているのは、たまたまだと思っています。スタッフさんだって入れ替わるじゃないですか。お世話になっていた人が偉くなって現場を離れてしまって、現場で他の人たちが仲良さそうに話しているのを『誰も知らない……』とただ見ているだけのこともあります」
今ではすっかり憧れの職業となった“声優”。置鮎に「同世代の声優同士でよく話すこと」をたずねると、「『消えたくない』とは、みんな思っているでしょうね」という答えが返ってきた。
置鮎 「一度でも声の仕事をしたことがある人間を含めたら、声優を名乗る人間は、何百人、何千人といるでしょう。これだけ人数がいたら、誰かが誰かの代わりになることもありますし、実際に時を経てキャストが変更されることもあります。わざわざ集まって話し合うようなことはありませんが、みんなが『淘汰されないようにしていかねば』という思いを抱いているはずです」
また、置鮎は、「10代の方は僕の名前を知らないと思う。やっぱり自分も声優という職業を認識したばかりのころは、それくらいの年代の方々はよく知らなかったですもん」とも語る。出演作や演じた役どころの豪華さに反して、彼は、自身のポジションを驚くほどシビアに捉えている。慢心しない姿勢こそが、業界で生き残り続ける秘訣ということだろうか。最後に置鮎に「仕事の上で心がけていること」を聞いてみた。
置鮎 「真面目に仕事をすること。ごくごく当たり前ですけど、結局それしかありませんからね。僕は天才ではないので、現場で台本を読めばすぐできるということはありません。下準備が大事な職業なので、しっかり台本を読み込んで、現場でいろいろ対応できるように予め備えておく。それが一番ですね。……ごめんなさいね、真面目な答えで!(笑)」 【原田イチボ@HEW】
(C)AbemaTV