テレビ番組からファンと接する握手会まで、そのサービス精神の旺盛ぶりからアイドル界トップクラスの“神対応”で知られるSKE48のメンバー、須田亜香里が新境地を開拓する。名古屋出身らしく、プロ野球の中日ファンでレジェンド左腕・山本昌と対談したかと思えば、2017年にはドラマ「豆腐プロレス」でプロレスに出会い、2018年にはDDTプロレスで第1327代アイアンマンヘビーメタル級王者にもなった。そんな須田が今度飛び込んだのが、中年男性の趣味というイメージが根強い麻雀業界。「負けず嫌いだけで、ここまで生きてきたタイプなので。ドはまりしちゃうかもしれませんね!」と語る売れっ子アイドルは、実にバイタリティに溢れていた。
昨年行われた「第10回AKB48世界選抜総選挙」で自身最高の2位に入った須田は、今ではテレビ番組に引っ張りだこの状態だ。「去年の印象深かったお仕事ですか?『どっきり』が多かったですね。年末は毎週のように、どっきりに遭ってました(笑)一度、何も関係ないホテルに泊まった時に、部屋のドアに鍵はあるけど、ロックがなくて。以前に「ロックがない時は寝起きどっきり説」を聞いたことがあったので、見られてもいいお部屋にしてから寝たんですけど、結局何もなくて。朝起きて、なんだか『ごめんなさい!』って気分になってました(笑)」。ちょっとしたエピソードでも“神対応”と呼ばれるだけの、人の良さがにじみ出る。
アイドル界という、ファンの強烈な熱意を感じる場所にいるからこそ、他業界に飛び込む時には、恐縮もする。プロレス界に“参戦”した時もそうだった。「DDTプロレスに行く前は、すごくアウェイなのかなとか、すごく緊張しましたね。やっぱりそれが大好きな方たちが、熱狂的に応援されているので、外から入ってくる人間に対して『何も知らないくせに』『薄い知識で来るなよ』っていうのはあると思うので。でもDDTプロレスに行ったら、『自分たち以外の人に、プロレスやDDTを伝えるきっかけを作ってくれてありがとう』と言っていただけたので、すごくうれしかったですね!」と、思い出しただけで昨日のことのように喜んだ。いわゆる「にわか」に対して、既存のファンの反応を知っているから、低姿勢にもなるし、場違いなこともしない。だからこそ、行く先々で好評を得る。
2019年、新たに挑戦することになった業界が、麻雀だ。AbemaTVの麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」に、初心者目線のアシスタントとして、麻雀好きの爆笑問題・田中裕二とコンビを組む。これまでの27年間の人生で、会話ですら麻雀というものに触れてこなかった須田からすれば、完全に未知の領域だ。「アシスタントの話を聞いたのは、去年の末ですかね。普通、自分の趣味とか、得意ですってことがお仕事につながるじゃないですか。だから私の場合、麻雀に対して何もなかったから、間違いなのかなと思っていて。いざ1月になったら『やっぱり須田さん辞めます』って言われるんじゃないかと、ビクビクしていました。本当に私なのかと、何回も確認しましたね」と笑った。
ただ、一度引き受けたからには、とことんやり尽くすのが須田の流儀だ。もともと、何かにハマると、時間も忘れてやり込むタイプ。SKE48に入ってからは「私生活が全部、趣味に持ってかれてしまうので」と、あえて趣味を作らずにいた。ちなみにどの程度ハマるのかと聞けば「オセロって2人でやるじゃないですか。でも、どうしてもやりたくなったら、白の番と黒の番、1人でやっていましたね。どっちの気持ちにもなって」と、盤を引っくり返す仕草を見せた。「負けず嫌いでここまで生きてきたタイプなんですよ。なんであの人にできて、私にはできないの!って思うことが多いので、そのスイッチが入ったら、麻雀にもハマっちゃうかもしれないですね」と、少し照れた。過去にはテレビゲームでも、納得のいくプレイができないと、いきなり電源を落とし最初からやり直す、泣きながら攻略するなどの経験があるだけに、麻雀に本気モードで向かえば、急成長にも期待できる。
麻雀の知識はないが「麻雀好きアイドル」が増えていることは知っている。もともとは中年男性がたしなむイメージだったというが「若いアイドルの方がやっていると聞いて、ちょっと背伸びをされているのかと思ったけど、そうじゃないことがわかって。むしろ、若い人もどんどんやった方がいいんじゃないかと思いました。覚えることが多くて、頭がよくないとできないイメージだし。芸能人の方も、こんなにたくさんやっているんだと知ってびっくりしました」と認識を改めた。総選挙では2位まで駆け上がった須田だが、持ち前の負けず嫌いさと熱心さがあれば、プロ雀士とは言わないまでも、「アイドル最強雀士」の肩書きを得るのも夢ではなさそうだ。
【小松正明】
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