持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の予選Aブロック、菅井竜也七段(27)と近藤誠也六段(22)の三番勝負が4月28日に放送され、近藤六段がタイトル経験者でもある菅井七段に2勝1敗で勝利、一位決定戦へと進出した。
早指し早見えのタイトル経験者の猛攻を、受け将棋で勝率7割超えを誇る近藤六段が耐え、そして跳ね返した。第1局は、菅井七段の高速攻撃をまともに食らった。75手での敗戦。しかも持ち時間を3分44秒も残されての完敗だった。「終盤、接戦にならなくて申し訳ないです。相手のリズムがやっぱりいいというか、非常に決断がいい」と、圧倒されたことを認めた。
それでも、ここで踏ん張れるからこそ、通算勝率7割超えが実現できる。第2局は中終盤のねじり合いに持ち込み、結果は第1局の倍以上となる173手で勝利。解説した藤森哲也五段(31)も「近藤さんのよさがどんどん出てくる」と感じていた。
第3局を迎える前、「ちょっとずつコツというか、少し温まってきた」と語っていた。完敗、そして大熱戦での勝利。2つの経験が受けの名手のコンディションを整えていた。振り飛車が特徴的な菅井七段が居飛車を採用、相居飛車という想定外の形になったが、相手の攻撃を1つ1つずつ処理。攻防が混ざり合う一局を157手で制した。
事前に行われたファンの予想では、予選Aブロック一位通過予想のトップが50%の菅井七段、近藤六段は4番目の10%だった。予想を覆す勝利で、次はプライベートでも仲がいい佐々木勇気七段(24)との一位決定戦に。「終盤の切れ味が佐々木七段の武器でもありますので、私はその鋭さで勝負すると分が悪いと思うので、ちょっと違うところで勝負したいなと思います」と穏やかに抱負を語る、近藤六段の眼鏡越しの目が鋭く光っていた。
敗れた菅井七段のコメント 1回戦は残念な結果になりました。やっぱり時間が大事で、3局目は使い過ぎたので、変わらず勢いよくやるのが大事かなと思っています。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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