持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の予選Aブロック、佐々木勇気七段(24)と近藤誠也六段(22)の一位決定戦(三番勝負)が4月28日に放送され、近藤六段が2勝0敗のストレート勝ちを収め、本戦出場一番乗りを決めた。
ともに2勝1敗のフルセットで1回戦を勝ち抜いてきたが、よりその勢いを持続して、一位決定戦に臨んでいたのは近藤六段の方だった。早々にペースを握ると「途中までは会心というか最高」と自画自賛するほどの進行に。持ち時間が少なくなるにつれ、佐々木七段の猛反撃に苦しんだものの、確実に振り切って124手で先勝した。
続く第2局は角換わりの最新形。日々の研究をぶつけるような形となった一局で、お互いの持ち味も出し尽くす勝負となった。受けに定評がある近藤六段にとっても「読んでない手、読みにくい手を連発された」とペースを乱されかけたが、ここでも終盤の的確な寄せが光り、127手で勝利。前回大会では、予選ブロックで三番勝負を連敗、いいところなく敗退してしまったが、まずは本戦出場を勝ち取り、ホッとした表情を見せた。
1回戦でタイトル経験者の菅井竜也七段(27)、一位決定戦で佐々木七段と、将来の将棋界の中心となりうる20代の両棋士を倒したことに「菅井さんと佐々木さん、若手のエース級というか、実力者2人にこういった結果を残せたということでは、素直にうれしいです」と、ようやく表情を崩した。さらに「今日の予選で(超早指しの)本番がどういうものなのか掴めました。本戦では強敵の方もたくさんいますので、それに向けて準備したいです」と、その先を見せた。ファン予想では1位通過が4人中4番目だった近藤六段。一気に、今大会の「台風の目」といった存在に浮上した。
敗れた佐々木七段のコメント 時間を余されて負けてしまったな、というのが率直な感想です。難しそうなんですけど、上手くまとめられなかった感じです。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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