将棋の名人戦七番勝負第4局が5月16・17日に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で行われ、挑戦者の豊島将之二冠(29)が佐藤天彦名人(31)を133手で下し、同シリーズ4連勝で新名人となった。実力制名人としては第十四代となり、平成生まれの棋士としては初。保持している王位、棋聖と合わせて三冠保持は、史上9人目の快挙となった。
本格的な「豊島時代」到来を予感させる七番勝負となった。第1局、千日手を経て先勝すると、第2局は快勝。大熱戦だった第3局ももぎ取り、一気に名人位に王手をかけていた。新名人誕生の期待が盛り上がる中で迎えた第4局も、じわりじわりと差を広げると、ミスなく佐藤名人の玉を寄せきった。
2017年度まで、その実力を認められながらタイトルに縁がなかったが、2018年度は棋聖、王位と続けて奪取。将棋大賞の最優秀棋士にも選ばれ、着実に豊島時代が近づくことを予感させていた。これで8つあるタイトルは、豊島新名人が3つ、渡辺明二冠で5つを占め、広瀬章人竜王、永瀬拓矢叡王、斎藤慎太郎王座と5人が保持する状況になった。会見で豊島二冠は名人獲得について「4局納得いく将棋が指せて、結果も出せてよかったと思います。(名人戦に)出られるだけでもうれしいことだと思っていたので、一局一局丁寧にと言いますか、その瞬間瞬間を大切にしようとやってきて、結果も出せましたしよかったかなと思います」と振り返った。また4連勝には「実力以上の部分が出たところもありますし、寄り運みたいなツキもあったのかなと思います」と、終始淡々と語っていた。
◆豊島将之(とよしま・まさゆき) 1990年4月30日、愛知県一宮市出身。師匠は桐山清澄九段。2007年4月1日に四段昇段し、平成生まれの棋士としては初のプロに。2009年度の将棋大賞で勝率一位賞・最多勝利賞に輝くなど、早くから実力を発揮。2010年度にはタイトル戦(王将戦)に初登場した。通算成績は641局で446勝195敗、勝率.6958(2019年5月17日現在)。保持するタイトルは名人、王位、棋聖で、史上9人目のタイトル三冠保持者。
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