内川幸太郎(連盟)は、戦前のインタビューで開口一番「とにかく楽しみです」と切り出した。「RTD」という選ばれし打ち手が集う舞台で戦えることに、プロとして、喜びを感じているのだ。
RTD出場は3年目。初参戦となった2017年は予選最下位に終わったが、RTDリーグ2018では決勝まで駒を進め、小林剛(麻将連合)に惜敗したものの準優勝でシーズンを終えた。「トータルで見てみると、1年間よく戦ったなとは思っています」と一時は予選で▲300ポイント台まで落ち込んだところからの復活劇だったため、優勝を逃した悔しさと同時に達成感もあったという。
今期はリーグ戦ではなくトーナメントとなることを受け、昨年までの相手選手との相性、打ち方、押し引きといった対戦相手の情報は、持ち込まず、自分なりに決めた「トーナメント用の打ち方」で臨む。
内川の言う「トーナメント用の打ち方」とは、人読みや押し引きより、“状況”を重んじることを指す。対局相手のリーチ精度や打点傾向をある程度は加味するが、相手が誰であっても「自分の打ち方をきちんと守ること」を最優先して戦う覚悟だ。
実際、所属する日本プロ麻雀連盟でも、通常のリーグ戦とトーナメント戦では打ち方を変え、2018年10月には自身初のメジャータイトルとなる第35期十段位を獲得した。「ここ3年間のトーナメントの成績で、9割5分は勝っているんです。グランプリMAX、十段位戦も含めてずっと負けなしで決勝に駒を進められました。直近2回は負けているんで、確率通りに収束したんですが」とはにかむ。
対戦相手はサバイバルマッチを制した金太賢(協会)、そして同団体でMリーガーでもある勝又健志(連盟)と萩原聖人(連盟)だ。それぞれの持ち味を最大限に発揮した者が勝つと予測しているが、1人だけ警戒している選手がいる。「勝又さんのトーナメントは独特。いろんなことをやってくる策士なので」と勝又からターゲットにされにくいポジションに位置し、出来ることなら味方につけられたらと考えている。そのためにも「初戦が大事。トップを取っておくと精神的にも有利になる」と先手必勝で臨む。
トーナメントは負ければ終わりだが「1試合でも多く。夏の甲子園の気分ですかね。1試合でも勝ち上がって、試合を楽しみたい。その先に決勝があって、その先に優勝があればいいかな」と力みも無い。
昨年の惜敗をリセットした“手順マエストロ”は、泰然自若の構えで「RTD」サードシーズンを迎える。【福山純生(雀聖アワー)】
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆RTDトーナメント2019 2016年から3年に渡り行われてきた「RTDリーグ」から、トーナメント方式に変更。昨年行われた「RTDリーグ2018」の予選リーグ(WHITE・BLACK)の上位各6人、推薦枠として2人の計14人に加え、予選リーグ7位の2人と新規参戦2人の4人による入れ替え戦(サバイバルマッチ)から上位2人が本戦に進み、計16人で行われる。16人はA~Dの4グループに分かれ、半荘4回戦で対戦。トータル2位が準々決勝A(上位3人が準決勝進出)、同3位が準々決勝B(上位1人が準決勝進出)へ、同1位は準決勝(上位4人が決勝進出)に進む。主なルールは一発・裏ドラ・赤(各種1枚)あり、全自動卓による自動配牌のMリーグルール。
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