大和証券Mリーグ2019、10月29日の1回戦で、赤坂ドリブンズ・丸山奏子(最高位戦)がデビュー戦を鮮やかな大逆転劇で飾った。オーラス南4局2本場、ラス目だった丸山は、アガリ牌をあえて見逃し、終盤に会心の倍満ツモアガリ。プロ2年目のルーキーが、Mリーグ史に残る劇的なデビュー戦勝利を成し遂げた。
そのドラマは、南4局2本場で生まれた。持ち点1万1600点のラス目だった丸山奏子は、震える手で祈るように模打(モウター)を繰り返していた。「(佐々木)寿人さんからアガったら裏ドラが乗れば2着。ツモれば絶対トップ」と4着覚悟で当たり牌の三万が出ても見逃し、倍満ツモを目指していた。その一途な思いは勝利の女神に届き、最後の最後で三万をツモり上げた瞬間、視聴者からは「きたああああ!」「ほんまか!」「漫画だわ」「まじで鳥肌立った」「伝説的なデビュー」「ガチで神回」「伝説にも程があるわ」と賞賛と祝福のコメントが波のように押し寄せた。
対局者は起家から「育成」をテーマにドラフト指名されたプロ入り2年目の丸山、RTDトーナメント2019王者のKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、Mリーグ2018個人スコアトップでMVPに輝いた渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)、Mリーグ2018・4着回避率1位のEX風林火山・滝沢和典(連盟)。丸山の対局相手はMリーグ2018個人スコアランキングベスト3の猛者達だった。
丸山の初アガリが生まれたのは東2局1本場。開局から手の震えが収まらない中、多井の先制リーチに追っかけリーチを放ち、リーチ・ツモ・ドラ・裏ドラで8000点(+300点、供託2000点)を決めたアガリだった。
東場をトップで折り返したものの3選手達が黙っているはずはなかった。南1局では先制リーチを放つも、多井とのめくりあいに敗れ2着目に後退。南3局1本場では、ドラポンで果敢に攻めるも佐々木の勝負リーチにつかまり、1万2000点(+300点)を放銃し3着目に。さらに南4局1本場では滝沢が親満を決めたことで、南4局2本場を迎えた時点で丸山は、1万1600点持ちのラス目に陥落していた。
トップ目だった3万5300点持ちの親番・滝沢とは1万9200点差。跳満を直撃出来ればトップになれるが、相手は4着回避率No.1選手。直撃はそう簡単に叶うわけがないと覚悟を決めた丸山は、トップ条件となる倍満ツモを目指し、手牌を育てていった。8巡目に条件を満たすテンパイを入れると、冷静に河を見回した後にリーチを決断。リーチ後に佐々木から三万が出るもなんと見逃し。そしてハイテイ直前となった最後のツモ番で三万をツモり上げ、リーチ・ツモ・平和・一気通貫・赤2・ドラで倍満1万6000点(+600点)の加点を成し遂げ、多くの麻雀ファンの胸を打った。
「トップの価値が大きいので、どうしてもツモりたいと思って」と可能性が残されている限りトップ取りにこだわった結果の大逆転ツモ。自らのMリーグデビューを、これ以上ない勝利で飾った。
ドラフト指名以降、赤坂ドリブンズはチーム一丸となり「丸山会議」とも称されるルーキーの育成プランについて朝まで激論を交わした日もあった。丸山は勤めていた不動産会社を退職し、Mリーガーとして、麻雀に集中する環境を整えていた。
そしてデビュー戦を迎えるまでの4カ月間、初代Mリーグチャンピオンのドリブンズメソッドを吸収するべく、Mリーグ2018の試合を見て、ノートに先輩3人の思考を予測しては書き出し、3人に確認しては教えを請う日々を過ごしてきた。
その成果が、対局中に見せた園田賢(最高位戦)ばりの鳴き、鈴木たろう(協会)ゆずりの見逃し。そして勝利者インタビューで見せた村上淳(最高位戦)を見習った誠実な受け答えに現れ、先輩3人に最高の形で恩返しをした。
Mリーグデビューの第1試験は100点以上の出来となったが「大きな舞台で臆することなく、これからの麻雀人生に通用するたくましい精神力を身につけたい」と今後も“マルコ”こと丸山は、さらなる成長に向けて猛勉強することを誓った。
Mリーグに彗星の如く現れたマルコのシンデレラの物語は始まったばかりだが、最高のスタートを切って見せた。【福山純生(雀聖アワー)】
【1回戦結果】
1着 赤坂ドリブンズ・丸山奏子(最高位戦)3万2700点/+52.7
2着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)2万7100点/+7.1
3着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)2万6700点/▲13.3
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)1万3500点/▲46.5
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)
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