勝った方が幕下優勝という13日目の對馬洋対照ノ富士の一番は、照ノ富士が相手を懐に入れるやや苦しい体勢となったが、最後は右四つ、左上手も取って組み止める万全な形となって寄り切り。幕下十枚目の地位で7戦全勝優勝を果たし、来場所での関取復帰を確実にした。
花道を引き揚げたときの表情は淡々としていたが、胸には万感の思いが去来したに違いない。2年前の平成29年(2017年)春場所は大関として、13勝2敗同士で横綱稀勢の里と優勝決定戦を戦った。翌場所も12勝をマークし、綱取りの可能性もあった。そんな絶頂期に左膝の古傷を悪化させ、場所後に内視鏡手術を受けた。しかし、術後の経過が思わしくなく、その後は2場所連続途中休場で14場所務めた大関からの陥落が決定した。
かつての規格外のパワー全開相撲は見る影も無くなり、番付は急降下。膝の負傷に加え内臓疾患などの体調不良も重なり、十両で9敗6休となった平成30年(2018年)夏場所を最後に関取の座も明け渡すことに。元大関の幕下落ちは過去に例はなく、4場所連続全休で今年春場所の番付は序二段四十八枚目。この場所で7戦全勝をマークし、優勝決定戦こそ敗れたものの翌場所から3場所連続で6勝1敗の好成績を残し、復帰5場所目で再十両を決定させた。
ケガに加え、元大関が序二段に陥落するという前代未聞の事態に、一時は引退も頭をよぎったほど精神的にもどん底に突き落とされた。切れそうな気持ちを繋ぎ止めたのは番付に関係なく応援してくれる人たちの存在だった。
元幕内力士が序二段まで陥落したケースは過去12例あるが、関取復帰を果たしたのは照ノ富士が史上初。元大関の再十両も史上初なら幕内優勝経験者が関取に返り咲くのも初めてのケースだ。異例尽くめの復活劇となったが、照ノ富士自身は27歳とまだ若い。この先、今回をさらに上回る大復活劇が待っているかもしれない。
▶映像:照ノ富士が幕下優勝を決めた一番(3時間34分ごろ~)
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