
医療ジャーナリストの鳥集徹氏は「“プラセボ効果”といって、偽の薬でも効くと思って飲んだり、すごいお医者さんにもらったものだと思って飲むと、それだけで多少良くなることがある。だから肛門を日光に当てることによって気分が良くなったり、健康意識が高まってより健康になったりすることは否定しない。しかし、問題はお金が絡む可能性があるということと、全てが安全だとは限らないということだ。本来、きちんと臨床試験を行い、本当に安全なのかを調べてやらないといけない。専門家や医師だったとしても、臨床試験のデータに基づかない主張は信用してはいけないだからこそ、サプリメントなどの広告では“個人の感想です”と出てくるのがそれで、あくまでも症例報告だ」と話す。
「トンデモ医療をやっているお医者さん取材したことがあるが、すごい理屈を作っていらっしゃる。難しい医学用語を使って説明されるので、一般の方が聞くと、信じるしかないような感じになってしまうそうしたものを、がんの患者さんからお金をむしり取ってやろうと思っているような人が利用していることが問題だと思う。やはり中身が同じワインでも、高級なラベルをつけたワインと、安い値段で安いラベルをつけたワインだったら、高級なワインの方がおいしいと感じてしまうように、医療にも同じ面があって、高いお金を払うと、あるいは最先端と言われるとすごくいいものだと思ってしまう。そうではない。高いから良い、最先端だから良いではなくて、きちんと効果が確かめられて、保険適用になっていることが基本だ」。

両氏の話を受け、カンニング竹山は「テレビ番組も誤解を招いている可能性もあると思う」と指摘、ZOZO執行役員の田端信太郎氏は「情報の送り手として公告を手がけてきた立場からすると、例えば薬機法で規定されている部分もあるが、やはりグレーゾーンになっているところもあって、広告主が言えないからメディアが代わりにノンクレジットで言うといったことが起きてしまう。また、大手企業が水素水を出していたり、マイナスイオンやデトックスなど科学的根拠の疑わしいものも存在していたりするが、これらは害は無さそうだからまだいい。しかし、例えば肛門日光浴で痔や大腸がんが治る等と言い出し、そこにお金が絡みだすと危険だと思う」と話す。
「ネガティブな方向の話で言えば、生活者や視聴者が不安に思うと、その感情が正しいこととされてしまう場合がある。例えば福島の処理水の話も、科学的には安全だけど、皆が安心じゃないからやめろという。醤油だって1リットル飲めば死ぬケースもあるわけで、単位や統計を脇において、ちょっとでも入っていると“汚染されている”という印象論になってしまう面がある」。
「騙されている人、惑わされている人を笑ったり、バカにしたりするのは絶対にダメ」
