ATP(男子プロテニス協会)が主催する国別対抗戦『ATPカップ』での日本の決勝トーナメント進出は叶わなかった。2勝同士で迎えたスペインとのグループステージ最終戦は、勝利したほうがグループ1位通過。日本はもし敗れても1試合に勝てば決勝トーナメント進出のチャンスありという状況だったが、スペインの3連勝によって夢は潰えた。
 しかし、ここでも会場を大いに湧かせ、遠く日本から応援するファンを興奮させたのが西岡だ。グランドスラム優勝19回を誇る王者ラファエル・ナダルに対して互角のラリー戦を展開。チェンジエンドで二人がすれ違うたびに、「身長差15cm」「体重差21kg」のハンデに愕然とさせられるものの、ひとたびラリーが始まるとそれを忘れてスリリングな攻防に見入った。初戦の世界ランク45位のパブロ・クエバス、2戦目のニコロズ・バシラシビリのようにナダルを自滅に陥れることは不可能だったが、理詰めでナダルの堅固なディフェンスを崩していく。そうして奪ったウィナーは一本や二本ではなかった。