新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月7日に緊急事態宣言が発令。その後、東京都が休業要請をする業種が何になるのか、方針はまだ決まらない。事前の都の資料では、休業要請を求める業種の中に「学習塾」も含まれていた。働く講師は、その業界特有の雇用形態から、休業が長く続けば生活への影響は非常に大きいと嘆いている。
ある予備校講師は「正直ダメージは大きい。開校延期のところでは、3月は10万程度、4月は30万程度の減収っていう形になっていますね」と、実際の金額を明かした。この金額が出てくる理由には、講師と塾・予備校の契約がある。「大手と呼ばれるところではフリーランスの先生が多いかと思います。1つのコマ単価というものが各先生に設定されていて、かけるコマ数(が収入)ですね」。休業になった場合の賃金について、一部補償してくれるところもあるが、全てではない。
都の休業要請に学習塾が入るかどうかと言われる一方で、北九州市にある学習塾では、男性講師の新型コロナウイルス陽性が確認され、小学生から高校性の16人が濃厚接触者として検査を受けることになる事例も報告されている。生徒の命を守るために「学習塾」と名指しされることは、やむを得ないのか。講師は「リアルで行う以上、3密になっているわけで(名指しは)予想通り、来たかという感じです」と、受け入れるしかないといった様子だ。安倍総理は会見で「オンライン授業」についても言及したが、「ライブで授業を行うというのは絶対にやめた方がいいものであり、私がその立場だったら断ると思います」とも語った。
講師にとってもダメージの大きい緊急事態宣言だが、学習面においては本来4月から新学期が始まるはずだった学生たちにも影響は大きい。基本事項を身につける4月は、学生にとっても大事な時期。その部分が遅れ、学校・塾・予備校で学ぶ機会を失ってしまった場合「(生徒が)自分でモチベーションがあってできるなら関係ないですけど、できなかった生徒はここで一気に伸び悩んでしまう結果になる」と危惧した。
学ぶ場を失くした学生たちの声は、Twitterでも見られている。「大学や近所の図書館も勉強室とかも閉鎖中で、自宅で勉強が中心になりますが、驚くほどにはかどらない。環境って大切だなぁ」「自宅で勉強はかどらない派です。誘惑が多すぎて、、、勉強始めたはずなのに気がつくと、寝転がったりスマホ見たりしてる だめだこりゃ」。講師が言うように、自分自身で勉強へのモチベーションを維持することの難しさを感じているようだ。
自宅では集中できないという声が上がる中、オンライン会議システム「ZOOM」を使用した授業や「自習室」を行っている塾もある。ニックネームと志望校を記入し、ZOOMに参加、カメラに移すのは手元のみで顔は映さない。入室すると他の学生が勉強している様子が映し出され、実際に講師への質問も可能。ZOOMでスマホを使用するため、スマホに勉強の邪魔をされることもない。
取り入れた塾の経営者は「自習室が大切なのは他者がいて、つかず離れずの状態を感じながら集中する、音であったり、雰囲気であったりを感じること。それが外とつながっている感というか、自分の家すぎないというか、その自習室の空気感を自宅で作ることによって、メリットがかなりある」と説明した。生徒からの評判も、集中できるという声が圧倒的だ。
それぞれの学習現場で、教師・講師たちが奮闘している中、外出自粛・休業要請については政府・都からの的確な指示が待たれている。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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