持ち時間5分、1手指すごとに5秒が加算される将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Aリーグ、チーム豊島VSチーム久保が4月11日に放送され、中堅戦で久保利明九段(44)が豊島将之竜王・名人(29)に三番勝負を2勝1敗、+1ポイントをチームにもたらした。
第1局から中飛車、四間飛車、向かい飛車。“捌きのアーティスト”と呼ばれる久保九段が、チーム振り飛車のリーダーらしく全て異なる振り飛車を使ってみせた。リーダー同士の第1局、豊島竜王・名人に一度は投了寸前のところまで追い詰められたものの、そこから驚異的な粘り。敗れはしたものの、次局につながる戦いを見せた。
意地の粘りは、すぐに効果が出た。あとがなくなった第2局、序盤から早いペースで指し進め、時間をしっかりと蓄えると、駒得にも成功。解説を務めた同じ振り飛車党の藤井猛九段に「振り飛車党が見てると気持ちよくなる一局」とまで言わしめた快勝で、星を五分に戻した。
そして迎えた最終3局目。「持っている力を全部出しきりたい」と、将棋界の頂点に立つ豊島竜王・名人に対して向かい飛車で戦いを挑むと、混戦模様の将棋でもうまい捌きを見せて勝利。先鋒を務めた今泉健司四段(46)に続いて、チームにプラスポイントを持ち帰ると「ホッとしてますね。フィッシャールールでやると、1局やるだけでもかなり消耗するので3局指しきれたのはよかったかなと思います」と、疲労の中にも達成感を滲ませた。
公式戦だけでも多忙なトップ棋士。ただ、この超早指し棋戦に向けて、入念な練習を積んでいた。第1回大会に出場した際、練習相手になってくれたのは早見え・早指しの菅井竜也八段(27)。今回はチームメイトにもなったことから、じっくり練習を積んだ。「フィッシャールールで『炎の十番勝負 VS菅井竜也八段』をやっておいてよかったなと思いますね。フィッシャールールにかなり慣れて指すことができましたので、その経験が活きたと思います」と、タイトル経験者同士の豪華な特訓が、開幕戦から来た大一番で最高の結果を生んだ。
開幕前のコメントではチーム全員で「全局振り飛車」とまで宣言した3人組。その中心にいる“振り飛車アーティスト”は、この先続く戦いでも、これでもかとばかりに飛車を振る。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)