これぞ「捌きのアーティスト」の真骨頂だ。将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Aリーグ、チーム久保VSチーム三浦が4月25日に放送され、中堅戦で久保利明九段(44)が、本田奎五段(22)との三番勝負で2連勝、+2ポイントを獲得した。
その強さに思わず、チームメイトたちが惚れた。関西の振り飛車三人衆「チーム振り飛車」のリーダーである久保九段は、振り飛車の名手として知られ、ついた異名が「捌きのアーティスト」。その力は、第1回大会で1勝も出来ずに敗退、苦杯を舐めた超早指し棋戦で、存分に発揮された。
実質的なデビュー1年目でタイトル挑戦まで駆け上がった超新星・本田五段との第1局には、四間飛車を採用。先手番ながら、千日手にもなりそうな局面を見事に打開すると「かなり熱戦になった」終盤でも、まさに見事な捌き。解説していた阿久津主税八段(37)からも「久保九段の振り飛車はさすが」という言葉が漏れ、作戦室で見守っていた菅井竜也八段(28)、今泉健司四段(46)からも「かっこいい!」「決まってるな」といった喜びの声が相次いだ。
続く2局目は長手数の大熱戦。久保九段の四間飛車から、相穴熊の重厚な戦いになると、形勢は二転三転。早指し戦は瞬時の判断で若手が勝る、というのが定説と言われる中で、22歳も下の本田五段との息詰まる勝負に競り勝ち。この勝利にまたしても菅井八段、今泉四段から「さすがです」「いやー、強かった」と声があがった。
大会開幕後にスタートしたチームのTwitterアカウントでも菅井八段、今泉四段に負けじと切れ味とユーモアが混ざった投稿を続ける久保九段。対局においても、チームをまとめる力でも、やはりリーダーだ。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)