多くの企業が倒産や収入減の打撃を受けて苦しむ中、世界では規制を緩和し、経済再開へと舵を切る動きが始まっている。一方、6日に緊急事態宣言の期限を迎える日本では、都道府県知事が政府に延長を要請、自粛継続の流れが加速している。
29日夜の『ABEMA Prime』に出演した作家の乙武洋匡氏は「感染者数が100人を割り込んだかどうかで一喜一憂しすぎない方がいいと思うし、総理の“依然として厳しい状況”や小池都知事の“感染爆発の危険”など、数値や指標を出さずに抽象的な表現に終始されると、私たちは判断ができない。注目すべき数値は何なのか。それがどこまで来れば危険で、どこまで下がれば緩めて良いのか」と疑問を呈する。
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自民党の政調会長代理を務める柴山昌彦衆議院議員は「感染者数が顕著に増えている所とそうではない所があり、東京都については自粛要請が一定の成果を少しずつ示してきている可能性は高いと思う。一方、人が自由に往来してしまうと実効性に欠けるという議論もある。緊急事態宣言を全国一斉に延長するかどうかというのは議論の余地があるので、専門家会議に科学的な分析をしてほしいと思う」とコメント。
その上で、「残念なことに、表に見える形では合理的な数値を元にした議論がされているようには感じない。接触8割減というのは一定の合理性がある数字だとは思うが、実際に上がってきている陽性率などを見る、信頼性に欠けるという意見が多い。外野としては、こういう状況になったらこのレベルで解除ができるということができる状況ではないように思っている。来週までに国民が納得できる形で合理性のある筋道を示してもらうことは難しいと思うが、何とか実現してほしいと思う」とした。
また、経済への影響については、「党内では特に収束後のV字回復と言われる経済の回復に向けた準備を着々と進めていくべきだという声はあるし、それは補正予算にもある程度、反映されている。政府もそこに配慮をしていないわけでは決してなく、専門家会議の議論の中でも、感染収束後の経済回復に向けた取り組みもしっかり考えられていると思う。5月7日以降は“withコロナ”という、コロナとうまく社会が付き合っていく方策について検討する必要もあると思う。アメリカでは、このままだと生活必需品に関わる経済活動も成り立っていかなくなるということで、緩和の動きが出てきた。日本でもこのままだと本格的な経済の再開はできない。オンライン化の推進など、新しいビジネスモデルを作り、この状況でも経済がうまく回るような、“withコロナ”をきっちり議論していかないと、感染が爆発する危険性が出てくると思う」との考えを示した。
慶應義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「例えば飲食についても、今はものすごく密接する居酒屋からほとんど密接しない高級料理店まで全てが一緒くたになっている。本当に経済との両立を図るのであれば、きめ細かく線引きをしていかないといけないが、それは事実上無理だ。そうなるとワクチンができるまでの間は集団免疫を獲得するに至らないので、どんなに赤字国債を発行してもいいから、固定資産税を減免する代わりに大家さんが賃料を50%にするとか、30%にするとか、かなり大胆なことをしないと打開できないと思う。規制を緩めれば経済は復活して助かるけど、犠牲者は出る。単純な話ではないと思う」とコメント。元経産官僚の宇佐美典也氏は「緊急事態宣言を解除するかどうかは別として、休業要請は解除していいのではないかと思っている。これまで得られた知見をベースに動かしてみて、統計を見ながら判断していくしかない。細かいルールを作ることは日本の行政機構も得意だし、業界団体と役所が協力することも得意だ。やはり一回動かしてみることが大事だと思っている」とした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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