将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Bリーグ第2試合、チーム渡辺VSチーム天彦が5月9日に放送され、大将戦で佐藤天彦九段(32)が渡辺明三冠(36)との三番勝負に2勝1敗(1持将棋)で勝ち越し、+1ポイントを獲得した。チームはトータル+4ポイントで決勝トーナメント進出を決めた。
互いをよく知る強者との超ハイレベルな斬り合いに、“貴族”と呼ばれる男がさらに輝いた。第1局は公式戦でもめったに見られない持将棋指し直しに。佐藤九段21秒、渡辺三冠11秒という究極の早指し戦を制し、先に1勝を手にした。
連勝で決着をつけたかったところだが、タイトル25期の超一流棋士・渡辺三冠の壁は分厚い。勝利した指し直し局と同じ戦型を選択したものの、最終盤で競り負け、1勝1敗のタイに戻された。
既にチームポイントでは決勝トーナメント進出を決めていた状況ではあったが、超一流同士の戦いこそが、気品高い棋士の魂を強く揺さぶる。最終第3局は後手番からの相矢倉。研究の範囲内だったのか、渡辺三冠に序盤から思わぬ一手を繰り出されたものの冷静に対応。第1局、指し直し局、第2局と、激闘が続いた中でもレベルを落とすどころか、さらに上げる戦いぶりを見せ、チームリーダーとして堂々と勝ち越した。
計4局をこなし、疲労も感じさせる中「相手の渡辺三冠という強敵を討ち取れたので、今日のところは大将としての面目はなんとか保てたかなと思います」とニッコリ。決勝トーナメントに向けても「チームカラーとしてのびのびやるというものを、ここまでやれている。このチームとしての結束力もかなり出てきたので、のびのび楽しくやりたい」と語った。
穏やかな性格と、柔らかな口調、ハイセンスなファッションから“貴族”と呼ばれる佐藤九段。対局では時に荒々しく、チームリーダーとして後輩を引っ張る頼もしいその姿は、ファンにとっても実に新鮮に映っている。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)