その愛の深さゆえか、ツンデレぶりが大爆発だ。プロ将棋界初の団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Cリーグ第1試合、チーム康光VSチーム糸谷が5月23日に放送され、糸谷哲郎八段(31)がチームメイトの都成竜馬六段(30)の戦いぶりに「用意してなかったらクビ」「よくやった!」と、喜怒哀楽を解き放った。普段から仲のいい2人だけに、糸谷八段も応援する気持ちの内がダダ漏れに。棋士の素顔が垣間見えることになった。
チーム糸谷の先鋒を務めることになった都成六段は、チーム康光・谷川浩司九段(58)と注目の師弟対決に。大会開幕前から、この指定対決を楽しみにしていた糸谷八段だけに、高見泰地七段(26)一緒に会議室でその戦いぶりを食い入るように見ていた。ところが若手有利と言われる早指しルールにおいて、都成六段は大苦戦。序盤から持ち時間をどんどん減らしていく様子に「ちょっと、ちょっと!時間使いすぎじゃない。大丈夫?あいつ。ここ長考している場合じゃないよ!」と声を張った。運良く大逆転で白星を拾った時には「でかいですよ、これは。どう見てもボロ負けでしょ」と語った。
続く2局目も都成六段は苦戦。押され気味の中、糸谷八段は「都成さん、ナイスガイなんだけど…」とボヤキ。早見え早指しには定評があるだけに、好手が浮かんだのか「セコンドタイムが欲しい」とも口にした。
1勝1敗で迎えた最終第3局でも、糸谷八段の思いは止まらない。決定局とあってか、気合の入った都成六段を見て「本人、顔つきが変わったんで、いい将棋が見られるんじゃないかと思いますね」と、普段から知る者だからこそわかる違いをしっかりチェック。前の2局とは異なる好勝負に「一番いい将棋を指してる」と称えると、見事勝ち越しを決めた瞬間には「最後、よくやった!最後の最後、いい将棋だった」と続けた。
対局を終えた都成六段が会議室に戻ってくると、糸谷八段は「ちょっと位負けしてませんでした?考えすぎでしょ」とチクリ。「我々もボロクソ言ってて申し訳ないけど、作戦通りに行って、自分の方が時間を使って、作戦負けってどういうことだと。準備しておいてくださいよ(笑)」と、微笑みながら詰めていた。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)