コロナ禍が若者の政治的関心を高めた? 投票行動につなげるにはどうすればいいのか
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 “政治に無関心。投票に行かない”と言われがちな若者に、新型コロナウイルスが変化をもたらしているという。

 カラフルなデザインが目を引くInstagramアカウント「NO YOUTH NO JAPAN」は、政治の話題を扱うメディアとして、2万8000人以上がフォローしている。運営する「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條子さんによると、コロナによる外出自粛期間中に、フォロワーが1万人くらい増えたのだという。「素朴な疑問をぶつけてくれたり。それこそ“アベノマスク”とか“星野源動画”みたいなキーワードも普通に出るようになり、“どうしてなんだろう”という会話が生まれるようになった気がする」。

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 自民党の青年局長を務める小林史明衆議院議員は「やはり自分の生活や将来に直結する問題だということが大きいと思う。私のところにも、9月入学の議論について、“何とかやめさせてくれ”という声や、“自分はいきなり飛び級になるんですか”という質問もきた」と振り返る。

 また、『東洋経済』の山田俊浩編集長が「安倍総理が決めた休校は全ての学生たちに影響を与えることだったし、給付金は30代、40代の人たちにとっても大きな関心ごとになった。アベノマスクについても、賛否両論で議論が巻き起こった。また、国政だけでなく、自分たちの知事ってこういう顔しているんだ、ということに気づいた若者も多いと思う。自治体の首長さんのリーダーシップが注目された2カ月間でもあった」と話すと、テレビ朝日平石直之アナも「今回のように、各国のトップのメッセージを同時に聞くという機会はなかなか無かったと思う」とした。

 withコロナ時代、選挙活動における握手や集会、無駄な会合もなくなり、ネットでのPRの比重が高まる流れも予測される。小林議員は「政治手法をガラッと変えることはできると思う。特にウェブでの会合がやりやすくなった。地元・福山市の高校と意見交換をしたが、その中から、コロナで学習の遅れが生じた子どもたちにウェブで家庭教師をやろうというプロジェクトがスタートした。こういう取り組みも政治の一つなんだという感触があると、関心をもってくれると思う。社会をガラッと変えるというよりも、みなさんの思いを丁寧に汲み取って問題解決していく、そういう政治をやるべきだと若い人たちも思っているのではないか」との見方を示した。

■「発言したことで楽しくなったという経験をしているか」

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 とはいえ、年代別の投票率を見ると、若い世代ほど低い傾向が続いている。18歳選挙権もスタートしているが、小林議員は「私が学生と意見交換をしたときには、“よく分からないのに、投票に行っていいのかな”という声が多かった。つまり、学校の中で政治のことをを考える機会がほとんどない中で、18歳になるといきなり投票ができるようになるという問題がある」と指摘する。

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 「やはり学校教育では、偏りがあってはいけないというのが難しさの原因としてある。歴史的にも、日教組が“特定の思想に偏っていることが問題である”として、政治の話はしてはいけないというふうになっていった。しかし、かつて“偏り”と言われていたのは、天皇制についてどう思うか、資本主義か社会主義か、といった大きな、イデオロギー的な話だ。今ではそういう議論は少なくなってきているし、若い世代はインターネットを使っていろんな情報を取り入れているので、話をして、自分はどう思うかと考える機会を作る方がいいと思う。むしろ“公平に”とか、“偏らない”という考え方を学校現場で失くすのがベストだ」(小林議員)。

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 こうした点について、エッセイストの小島慶子氏が「情報の偏りは気にするべきだけど、答えを出すことは偏りではない。先生が“A政党とB政党だったらB政党が正解だ”と教えるのではなく、どっちが自分の考えに合うだろうと考えるための方法を教えることが大切だ。それがないので、政治に詳しくないと、“自分が偏っていたらどうしよう”と怖くなるのではないか」と話すと、能條氏は「若い世代に限らず、日本人は偏っていると感じるのを怖がると思う。だから意見を持つの怖いし、中立であることがクールだという雰囲気になるのではないか。しかし、そもそも意見と人格は別なので、意見は合わないが仲良しだ、と認め合えばいいだけ。そういうことを学べば問題ないと思う」とした。

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 山田氏は小島氏に「学級委員をやったタイプですよね?」「中1と高3でやりました」と確認した上で、「実は私も学級委員をやっていた。そもそも学校の中にも委員会で何かを決める、投票をする、といった積み重ねがある。しかし、そういうことに関わっている人と、そうでない人が関わっていない人がいたと思う。学級委員としては、そのことを気にしていた。大人になってからも、マンションの管理組合で発言する人はするけど、しない人はしない。やはり、“発言しないと損する”ということを経験、発言したことで楽しくなったという経験が小学校、中学校の間にできるかが大事だと思う」とコメントした。

■「ポップなものだったら飛びつくだろうという発想はやめよう」

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 他方、選挙権年齢だけでなく、被選挙権年齢の問題もありそうだ。国会議員の年代別構成比を見ると、やはり中高年以上が厚い。能條氏は「デンマークに留学したときに、21歳の国会議員がいて、日本は本当におじさんばかりだと思った。定年を作って辞めてくれないかなと思ったりもする(笑)」と話す。

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 小林議員は「“政治に関わったとして、本当に社会が変えられるのだろうか”と確信を持てないということがある。そして私自身、NTTドコモでサラリーマンをしていた頃に規制とぶつかったことで“ルールを変えたい”と思い、政治の道に入った。そういう意味では、社会課題を感じる瞬間が多ければ多いほど政治に関心を持つ機会が増えていくので、結果的に年齢が高い人のほうが関心を持ちやすいということだと思う」とした上で、「当選した人が長く続けていけばいくほど、新しい人は入ってきにくいという流動性の問題もあるが、被選挙権年齢は衆議院議員が25歳、参議院議員が30歳になっている。私は初当選が29歳の時だったが、やはり18歳から選挙に出られるようになれば、選択肢が広がる。また、国会議員の場合、供託金として300万円を用意しなければならない。これは一定以上の得票を得られれば返ってくるものだが、こうした初期費用の問題も、若い人にとっては大きなハードルだ。私たち青年局や若者の政治参画の議員連盟では、18歳から選挙に出られるようにし、供託金の額もゼロに近い形にしようという取り組みを行っている」と話した。

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 小島氏は「政治家は若者に歩み寄ろうとする時に出す企画は、ことごとく“イタい”。“若者なんだから、ポップなものだったら飛びつくだろう”とか、“難しい話は分からないだろう”と思いがちで、それが若者を政治から遠ざけていると思う。自分が20代の頃を振り返ってみると、割と真面目に考えていたと思うし、知識や経験がないから、真面目ではないから、と決めつけずに扱ったほうがいい」、平石アナは「政治家の責任もあるが、メディアの責任もあると思う。政治について考えること、関わることは楽しいことだし、かっこいいことだと感じられないように伝えてきた責任は大きいと思う」とコメントしていた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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