上座に着くの、ちょっと待って!タイトル挑戦・藤井聡太七段に橋本崇載八段、初手合までは「タイトル取らないで」とお願い
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 日本中の将棋ファンが藤井聡太七段(17)の最年少タイトル挑戦で盛り上がる中、ほんのり複雑な心境でいる棋士がいる。橋本崇載八段(37)だ。「ハッシー」の愛称でファンから親しまれ、粘り強い受け将棋と、解説時などでの歯に衣着せぬトークが人気だ。今期、順位戦B級2組で藤井七段との対局が決まっているが、心配しているのが対局時に座る位置だ。「いくら向こうの方が強いとはいえ、17歳の青年に上座に着かれる癪です。勝敗はどうでもいい、そこだけは」と、少なくとも半分以上は本気の口ぶりで語った。この上座と下座、そしてタイトル挑戦。橋本八段の発言は、どういう意味か。

▶中継:藤井聡太七段、順位戦B級2組2回戦 橋本崇載八段と初対戦

 橋本八段が「上座問題」について言及したのは、2日に行われたヒューリック杯棋聖戦・決勝トーナメント準決勝の時。ABEMAの中継で解説を務めていたが、この時に心中を明かすタイミングがあった。藤井七段のタイトルについては「取るチャンスというよりは、いくつ取るか。2つぐらい取っても不思議じゃない」と高く評価。現在3人の複数冠保持者がいるが、それに匹敵する力があるとした。準決勝を快勝、決勝でも永瀬拓矢二冠(27)を破り、挑戦権を獲得したのは広く知られたところだ。

 将棋界の未来を担う若手に対して期待するところは大きいが、いざ対戦相手となると複雑だ。「今度、順位戦が当たることが決まって、残念なんですよ。藤井七段と当たりたいか、当たりたくないか。20代の人で、藤井七段をライバルと思っている人なら当たりたいでしょうが、30代後半から40代の人で、当たりたくないって人もいると思いますよ」と語った。ニュースターとの対決とはいえ、相手にも生活がある。いくら注目を集めたとしても、勝って先に進めなければ意味がない。年を重ねた棋士であれば、そんな思いを持つ者がいても、不思議ではない。

 そんな橋本八段だが、ちょっとしたユーモアを入れ込めるから、ファンの人気がある。「まだちょっと上座に着かれたくないんですよ。いくら向こうの方が強いとはいえ、17歳の青年に、上座に着かれるのは癪です。勝敗はどうでもいい、そこだけは」と語ると、聞き手を務めていた女流棋士からも「そこですか!?」とツッコミが入った。

 対局時、上座に着くのは段位が上の者。タイトルを持っていれば、高段者よりもタイトル保持者が上座に着く。このまま行けば橋本八段が上座だが、もし藤井七段が棋聖のタイトルを獲得するとなると、座る位置が逆になる。「(直接対決の)2戦目以降は、もはや地位的にも格的にも藤井七段が違う世界に行ってそうなのでいいんです。初手合はせめて先輩に上座を座らせてもらえればと思います。対局は、王手1回ぐらいはかけたいですね」と続けて、さらに笑いを誘った。

 なお、橋本八段と藤井七段の対局は、日本将棋連盟のホームページによれば7月8日となっているが、棋聖戦の第3局が7月9日。日程調整が入れば、棋聖戦第3局の後に組まれる可能性もある。「少なくとも渡辺棋聖がストレートで負けることはないと思います」という橋本八段。果たして、注目の初手合で座る位置はどっちだ。

▶中継:藤井聡太七段、順位戦B級2組2回戦 橋本崇載八段と初対戦

橋本崇載八段 対 藤井聡太七段
橋本崇載八段 対 藤井聡太七段

▶映像:藤井聡太七段、最年少タイトル挑戦を決めた瞬間

藤井聡太七段、記録達成のシーン
藤井聡太七段、記録達成のシーン