将棋の名人戦七番勝負第1局が6月10、11日、三重県鳥羽市「戸田家」で行われ挑戦者の渡辺明三冠(36)が、豊島将之名人(竜王、30)に144手で勝利した。渡辺三冠は、名人初挑戦で、七番勝負初勝利。悲願の名人獲得に、後手番で大きな一歩を踏み出した。
これまでタイトル25期と現役では3位、歴代でも5位に入る実績を持つ渡辺三冠だが、名人挑戦は今回が初。昨期、順位戦A級で全勝という文句なしの挑戦で、初挑戦を決めていた。
豊島名人とは過去27回対戦し16勝11敗と勝ち越していたが、直近5局では1勝4敗と押し返されていた。本局も形勢互角の時間が長く続き、終盤には一時リードを奪われる場面もあったが、最終盤にチャンスを掴むとここから一気の寄せ。即詰みに討ち取り、大熱戦を貴重な白星を手にした。
今回の七番勝負は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の影響もあり、日程が大幅に後ろ倒しに。例年4月に開幕していたが、今回は2カ月遅れで開幕した。
対局後、渡辺三冠は「持ち時間は初めてだったし、2日目の夕休も初めてでした。1回やってみて、それを活かして来週に臨みたいと思います」と語ると、2日前にもヒューリック杯棋聖戦五番勝負があり、ハードスケジュールだったことには「それまでがしばらく空いてたんで、体力的には問題なかった。これから詰まってきた時に、気をつけないといけないと思う」とコメントした。
第2局は1週間後の18、19日。山形県天童市の「天童ホテル」で行われる。先手は渡辺三冠。
(ABEMA/将棋チャンネルより)