将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が6月23日、王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢二冠(27)に127手で勝利、挑戦権獲得に成功した。藤井七段は、ヒューリック杯棋聖戦でも渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に挑戦中で、最年少でのタイトル獲得とともに、一気に二冠まで駆け上がる可能性がある“ダブルタイトル戦”が現実のものになった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、延期になっていた対局が一気に6月に組まれると、藤井七段も今月7局目というハードスケジュールに。永瀬二冠も21日に叡王戦七番勝負の第1局を戦ったばかりと、両者とも過密日程の中、知力と体力を振り絞る戦いとなっていた。
練習将棋をする間柄でもあり、互いの手の内をよく知る両者の対局は、藤井七段の先手から角換わりで進行。じっくりとした序盤から、中盤では藤井七段がプロ入り後、最長となる1時間36分の大長考を見せるなど、惜しみなく持ち時間を使い、強敵・永瀬二冠に対して攻略の糸口を探り続けた。残り時間も数分となった中、永瀬二冠の攻め手を巧みにしのぎ続けると、手番が回ってきたタイミングで一気に反撃。鮮やかな寄せで勝ち切った。
対局後、藤井七段は「七番勝負もしっかりいい将棋を指したいと思います。(2日制については)持ち時間8時間は指したことがないので、じっくり考えられるのは楽しみです」と語った。
藤井七段は4日、この日と同じ永瀬二冠を相手に棋聖戦の挑戦者決定戦で、激闘の末に勝利を収め、17歳10カ月20日という最年少でのタイトル挑戦記録を樹立。その後、8日には渡辺明棋聖(棋王、王将、36)との第1局にも勝利し、最年少タイトル獲得に一歩前進している。
現在、最年少でのタイトル獲得記録は、屋敷伸之九段(48)が持つ18歳6カ月。棋聖戦五番勝負は7月中、木村一基王位(47)との王位戦七番勝負は、例年最終局までもつれ込んでも9月いっぱいで終了することから、来月19日に18歳になる藤井七段が奪取に成功した際には、もれなく最年少記録を更新することになる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)