将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が7月16日、ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第4局で、渡辺明棋聖(棋王、王将、36)に勝利、シリーズ成績3勝1敗で、棋聖のタイトルを獲得した。藤井七段は17歳11カ月で史上最年少のタイトル獲得。従来の記録を30年ぶりに更新、将棋界初の「17歳タイトルホルダー」となった。
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悲願の初タイトルに王手を迎えて始まった第4局は、先手の渡辺棋聖が得意の矢倉を採用。藤井七段が勝利した第2局の局面を、あえて渡辺棋聖が再現する進行を見せ、タイトル25期の実力者による研究と意地に対し、藤井七段が真正面から受け止めるような序盤に。それでも激しい攻防となった第2局と異なり、本局は互いにじりじりと間合いを詰め合うような展開になった。激しい終盤戦になったのは、両者の持ち時間が30分を切ってから。好手を繰り出し渡辺棋聖を追い詰めると、わずかなミスの許されない状況でも最善手を連発。プレッシャーにも打ち勝ち、ついにタイトルを手に入れた。
対局後、藤井七段は「バランスを取るのが難しかった。最後までわからなかったです」と対局を振り返ると、タイトル獲得については「まだ実感がないというのが正直なところです」と率直な思いを述べた。それでも「責任のある立場になりますので、より一層精進したいと思います」と、タイトルホルダーとしての自覚を持とうというコメントもあった。
藤井七段は、中学生だった2016年10月に、史上最年少の14歳2カ月で四段昇段、プロデビュー。直後から続けた史上最多の29連勝をはじめ、数々の記録を樹立してきた。新型コロナウイルス感染拡大を受けた対局延期により、最年少でのタイトル挑戦も危ぶまれていたが、公式戦が2カ月空いた6月以降の対局ラッシュでも、トップ棋士を次々と撃破。外出自粛期間を研究の機会としたこともあってか、棋士たちからは格段に成長したという声も相次いでいた。
少年時代からの夢を叶えた藤井“新棋聖”だが、現在は王位戦七番勝負で木村一基王位(47)にも挑戦中。最短であれば8月中旬にも藤井“二冠”、最年少での八段昇段を果たす可能性がある。また、将棋界のビッグタイトルである竜王戦でも決勝トーナメントに進出しており、挑戦権獲得の期待もある。29連勝時、日本中が沸いた「藤井フィーバー」の再来は、今後のさらなる活躍次第で、その時以上の盛り上がりを見せる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)