両者20枚ずつ、計40枚の駒で、9×9=81マスの中で戦う将棋というテーブルゲームにおいて、戦型・戦法は古くから数々のものが生み出され、また消えていった。ただ、一度消えたと思われたものが、AI(将棋ソフト)全盛となった令和の時代において、また復活するあたりが実におもしろい。8月4、5日に行われている王位戦七番勝負第3局。史上最年少でのタイトル獲得を果たし、日本中の注目を浴びる藤井聡太棋聖(18)が用いた「土居矢倉」という戦法は、大正から昭和初期に活躍した実力者が得意としているものだった。