「Amazonプライムビデオ」のCMに松本人志や鋭い発言で知られる国際政治学者の三浦瑠麗氏が起用されていることに抗議し、プライム会員を退会する「#Amazonプライム解約運動」。アマゾンジャパン社は『ABEMA Prime』の取材に対し、「このCMシリーズはシーズンごとに違う著名人が出演。独自の起用基準を設けており、制作意図や起用基準は機密事項」とした上で、「お客様の反応を真摯に受け止め、今後の制作に反映」「本CMは期間限定のため間もなく放映期間が終了」と回答している。
・【映像】不買運動は三浦瑠麗氏が主張した"徴兵制"が問題? "言論の自由"を脅かす可能性も
運動の“賛同派”が問題視していることのひとつが三浦氏の過去の発言で、とりわけ三浦氏が「徴兵制」に触れてきたことについて厳しい非難の声が上がっている。昨年1月に出版された『21世紀の戦争と平和―徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』で三浦氏は、軍国主義への回帰ではなく、国民の間に負担共有の精神を甦らせ、平和を担保し、戦争を抑止するための試みとして徴兵制の象徴的な意義を問い直している。
こうした主張に対し、Twitter上には「Amazonがネトウヨタレントを広告塔に起用」「『戦争したくないならお年寄りと女性に徴兵制を導入すべき』こんなことを主張される方がCMのキャラなんですか?」「不買運動は欧米でも日常的にある民主的社会参加の方法」「Amazonプライムだけでなく本体のAmazonも不買対象にすべき」「不買が起こるのは当然じゃないんですか?イメージが悪い人を使えばこうなるというだけ」といった意見が数多く書き込まれている。
一方、脳科学者の茂木健一郎氏は「このハッシュタグはおかしい。『お笑い』のことで松本人志さんといろいろあったから、そう思っている人もいるかもしれないけど、コメディアンとしての松本さんを尊敬している。三浦瑠麗さんは自分できちんと考える方。立場が少しでも違うと拒絶というのは人間としてどうか」とツイート。運動を疑問視している。
18日の『ABEMA Prime』に出演したカンニング竹山は「僕は不買運動というものが大っ嫌い。嫌いなら自分が商品を買わなきゃいいだけで、呼びかけて“運動”にするのはなぜ?と思う」とした上で、次のようにコメントした。
「Amazon Primeの場合、いろいろなソフトがあって、皆さん選べますよ、というものだ。ABEMAだって右寄りの人が出ている番組もあれば、左寄りの人が出ている番組もある。バカみたいな番組も、恋愛の番組もある。その中の一つを取り上げて“見ないようにしよう”となれば、偏ったチャンネルばっかりになってしまうのではないか。世の中に僕のことを嫌いな人もいっぱいいて、Twitterに“竹山が出てきたからチャンネル消そう”と書いている人もいる。三浦さんについても、好きな人もいれば嫌いな人もいるだろう。今回、“徴兵制”という言葉が強いので独り歩きしているが、前後をちゃんと読みました?言っていることは理解できてる?という問題もある。是か非か、必要かどうか、著書などを読んで理解し、議論する中で見えてくることもあるわけだから、そのきっかけになればいい。極端なことをいえば、報道番組でこうして取り上げる必要もないのではないか」。
また、「BlackDiamond」リーダーのあおちゃんぺも「私はこういう運動が起こる度に、仲間を作ろうとするのを見て、“集団になるのはダサい”と思う。自分が思ったことなら一人で実行すればいいのに。そして、アマゾンジャパンが“今後の制作に反映します”と回答しているが、そのまま反映させてCMの放送をやめてしまえば、運動に賛同すれば嫌いな人を下ろすことができるんだ、ということになってしまう」と批判した。
三浦氏と番組で共演した経験を持つジャーナリストの堀潤氏は「三浦さんは右的な目線、左的な目線も踏まえ、“現実路線で言うとここですよね”、というお話をされる方。だから発言の一部だけを見ると、“そっち側”に見えるということもある。そして、その説明の中に分かりやすい単語がポンポンと入ってくるので、前後をちゃんと聞けばわかるが、やはり“え?徴兵制?”とパッと反応してしまうことになる」と指摘。
「ちょうどベラルーシの皆さんと話をしたが、“堀さん、日本語って政治の言葉が少ないんですね”と言われた。やはり“徴兵制”という言葉についても、すぐに太平洋戦争や独裁政権などを想起してしまって、その言葉の奥行き、イメージのバリエーションが乏しい部分があると思う。不買運動ではなく、真っ向から徴兵制の是非についてツイッター上で議論を仕掛ければ良かったのになと思うし、0か100か、白か黒か、右か左かといったインターネット上でのコミュニケーションはそろそろ卒業したほうがいいと思う」と訴えた。
就活サイト「ワンキャリア」の北野唯我氏は会社を経営している身からすると、不買運動をされたら、“もうやめたほうがいいな”と計算してしまうと思うし、政治的主張をしない人を起用した方がいいという考えにもつながってしまうと思う。しかし、それでは日本の言論は進歩しないと思う。その意味では、この不買運動はクールじゃないと思うし、AmazonにはCMをやめないでほしいと思う。一方で、アメリカでは差別にNOと言ったNFLの選手を広告に起用したことで不買運動が起き、株価も下がった。しかし、ナイキを支持する人たちもいて、結果的に株価は盛り返した。日本は選挙の時も含めて、政治を語るハードルが高いと思う。今回のことを機に政治の話ができるようになるとしたら、長い目で見れば良いことだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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